小児急性骨髄性白血病におけるFLT3遺伝子の異常と微少残存白血病細胞検出への応用

小児AML42例に対し, PCRを用いてFLT3遺伝子の異常 (ITDおよびD835) の有無を検討した.ITD陽性は8例 (19.0%), D835陽性は3例 (7.1%) であった.ITDの有無による完全寛解率は, 陽性例, 陰性例でそれぞれ100%, 81% (p=0.32) と差はなかったが, 陽性例の再発率は87.5%±11.7%と陰性例 (40.1%±10.5%) と比較して有意に高く (p=0.0435), 予後不良因子と考えられた.また, t (8;21) 陽性AMLの7例中3例がITD陽性であり, 3例全例が再発した.陰性例の再発は1例のみであったことより, 予後良好とされる...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 19; no. 1; pp. 19 - 24
Main Authors 甲斐, 純夫, 黒木, 文子, 山崎, 桜子, 奥田, 久美子, 高橋, 浩之, 後藤, 裕明, 藤井, 久紀, 生田, 孝一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 28.02.2005
Online AccessGet full text
ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.19.19

Cover

More Information
Summary:小児AML42例に対し, PCRを用いてFLT3遺伝子の異常 (ITDおよびD835) の有無を検討した.ITD陽性は8例 (19.0%), D835陽性は3例 (7.1%) であった.ITDの有無による完全寛解率は, 陽性例, 陰性例でそれぞれ100%, 81% (p=0.32) と差はなかったが, 陽性例の再発率は87.5%±11.7%と陰性例 (40.1%±10.5%) と比較して有意に高く (p=0.0435), 予後不良因子と考えられた.また, t (8;21) 陽性AMLの7例中3例がITD陽性であり, 3例全例が再発した.陰性例の再発は1例のみであったことより, 予後良好とされるt (8;21) から予後不良群を抽出できる可能性があると考えられた.D835の異常にっいては, 症例数が少ないため臨床的意義は明らかにできなかった.さらに寛解期検体に対してITD特異的プライマーを用いてPCRを行い, MRDの有無を解析したところ, 融合遺伝子を指標とした結果とよく一致していた.ITD陽性AMLではMRDマーカーのない場合も多く, このような予後不良の症例では有力な指標となり得ると考えられた.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.19.19