第18回 臨床不整脈研究会 僧帽弁形成術後の心房頻拍に対するカテーテルアブレーション後に洞機能不全をきたしcilostazol内服により永久ペースメーカーを回避し得た1例

症例は56歳,男性.僧帽弁閉鎖不全症に対する形成術後,年数回の動悸発作を認めるようになった.心房粗動(AFL)・心房細動の診断でさまざまな抗不整脈薬(AAD)を投与されたが無効で,著明な洞停止を認めた.Bepridil 150mgを処方され,一時改善したが持続せずRF目的で当科に紹介された.心臓電気生理学的検査(EPS)でisthmus-dependentAFLおよび右房後側壁切開痕と心房中隔切開瘢痕の間を回路に含むatriotomy scar reentryが誘発され,三尖弁輪-下大静脈間のisthmus,および2つの瘢痕間の線状焼灼を行い頻拍は誘導されなくなった.翌月に心房頻拍が再発し,2...

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Published in心臓 Vol. 38; no. Supplement4; pp. 89 - 94
Main Authors 小川, 聡, 谷本, 耕司郎, 田中, 知子, 副島, 京子, 萩原, 陽子, 福本, 耕太郎, 佐藤, 俊明, 南雲, 美也子, 高月, 誠司, 三好, 俊一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2006
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.38.Supplement4_89

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Summary:症例は56歳,男性.僧帽弁閉鎖不全症に対する形成術後,年数回の動悸発作を認めるようになった.心房粗動(AFL)・心房細動の診断でさまざまな抗不整脈薬(AAD)を投与されたが無効で,著明な洞停止を認めた.Bepridil 150mgを処方され,一時改善したが持続せずRF目的で当科に紹介された.心臓電気生理学的検査(EPS)でisthmus-dependentAFLおよび右房後側壁切開痕と心房中隔切開瘢痕の間を回路に含むatriotomy scar reentryが誘発され,三尖弁輪-下大静脈間のisthmus,および2つの瘢痕間の線状焼灼を行い頻拍は誘導されなくなった.翌月に心房頻拍が再発し,2回目のEPSを施行した.心房中隔切開瘢痕・上大静脈のreentranttachycardiaが誘発され,同部位の線状焼灼を行い頻拍は停止し誘発されなくなったが,約40/分の異所性心房調律や接合部補充調律を認めたため,cilostazol 200mg内服を開始した.心拍数が徐々に上昇し,70~80/分程度へ回復し,その後数カ月間でcilostazol漸減中止したが正常洞調律であり,AAD投与で頻拍発作も認めていない.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.38.Supplement4_89