第9回 心臓性急死研究会 冠攣縮性狭心症による突然死例の検討

冠攣縮性狭心症と診断され,外来で経過観察中に突然死した7例について,その臨床的特徴を検討した.攣縮部位は左主幹部が1例,左前下行枝近位部4例,右冠動脈近位部2例といずれも支配領域の広いところで発生しており,しかも発生時7例中4例で心室頻拍,または心室細動を認め2例に失神を,1例に収縮期血圧60mmHgの低血圧を伴った.退院後死亡に至るまでの観察期間は,3-38カ月(平均11カ月)であった.この間少なくとも2剤以上の狭心症薬が投与されていたが,7例中6例では狭心症発作が残存していた.しかし,死亡前2カ月間に限ってみると全例発作はなく,表面的には一応コントロールされていた形だが,ホルター心電図など...

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Published in心臓 Vol. 24; no. Supplement5; pp. 38 - 43
Main Authors 橋本, 博道, 五十嵐, 盛雄, 松本, 秀一, 池田, 精宏, 大和田, 憲司, 丸山, 幸夫, 大和田, 尊之, 木島, 幹博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1992
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.24.Supplement5_38

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Summary:冠攣縮性狭心症と診断され,外来で経過観察中に突然死した7例について,その臨床的特徴を検討した.攣縮部位は左主幹部が1例,左前下行枝近位部4例,右冠動脈近位部2例といずれも支配領域の広いところで発生しており,しかも発生時7例中4例で心室頻拍,または心室細動を認め2例に失神を,1例に収縮期血圧60mmHgの低血圧を伴った.退院後死亡に至るまでの観察期間は,3-38カ月(平均11カ月)であった.この間少なくとも2剤以上の狭心症薬が投与されていたが,7例中6例では狭心症発作が残存していた.しかし,死亡前2カ月間に限ってみると全例発作はなく,表面的には一応コントロールされていた形だが,ホルター心電図などによる詳細な検討がなされておらず,無症候性心筋虚血のあった可能性が否定できなかった.死亡時刻は深夜から早朝にかけて多くみられ全例瞬間死と思われる形をとっていたため,自宅または自宅近くで死亡していた.病院での治療を受ける間のなく死亡に至ったことを考えると,ハイリスク群を同定し,頻回にホルター心電図などで経過を観察しながら,十分な冠拡張剤を投与することが重要な予防法であると考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.24.Supplement5_38