第12回臨床不整脈研究会 リード不完全断線により洞調律時にショック誤作動を起こしたICD植え込み例
ICD症例の増加に伴い,誤作動の報告も多い.我々は,ICDリード断線によるノイズ過剰感知とそれによるショック誤作動を起こした稀な症例を経験した.症例はVF蘇生歴のあるBrugada症候群の47歳男性.1998年6月に第4世代ICD(Medtronic Micro Jewel II 7223 Cx+SPRINTTM RV 6943-65リード)を左前胸部へ植え込み後,定期チェックで異常なく,作動も認めていなかった.1999年10月動作中に胸部にショックを2回自覚した.履歴解析で計4回のVF zoneの頻拍を感知,うち2回に30Jショックの作動を認めた.ICD本体とショックリードには問題がなかった...
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| Published in | 心臓 Vol. 32; no. Supplement6; pp. 60 - 64 |
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| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2000
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| Subjects | |
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| ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
| DOI | 10.11281/shinzo1969.32.Supplement6_60 |
Cover
| Summary: | ICD症例の増加に伴い,誤作動の報告も多い.我々は,ICDリード断線によるノイズ過剰感知とそれによるショック誤作動を起こした稀な症例を経験した.症例はVF蘇生歴のあるBrugada症候群の47歳男性.1998年6月に第4世代ICD(Medtronic Micro Jewel II 7223 Cx+SPRINTTM RV 6943-65リード)を左前胸部へ植え込み後,定期チェックで異常なく,作動も認めていなかった.1999年10月動作中に胸部にショックを2回自覚した.履歴解析で計4回のVF zoneの頻拍を感知,うち2回に30Jショックの作動を認めた.ICD本体とショックリードには問題がなかったが,ペーシングおよびセンシングを行うP/Sリードの心内電位,抵抗が体位変換や呼吸で変動した.さらに左上肢の運動やICD本体周囲への外的振動で心内電位にノイズが入り,頻拍と誤認した.胸部拡大X線でアンカリングスリーブ端にリードの亀裂が認められ,リードの入れ替え時に術野でP/Sリードのうち遠位リードのみの断線が確認された.ICDの遠位リード断線によりリード断端よりノイズが過剰感知され, V F と誤認され, さらに断線していないショックリードにより洞調律時にショック誤作動を起こしたと推察された.本患者は肉体労働者で,機械的な負荷が断線を招いたと考えられた. |
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| ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
| DOI: | 10.11281/shinzo1969.32.Supplement6_60 |