女性団体の活動は福祉予算に影響を及ぽすのか―韓国・地方自治体の抗議イベントデータを用いた実証分析
本稿は,韓国における基礎自治体のパネルデータを用いて,女性団体の活動が自治体の福祉予算に与える影響を明らかにした。先行研究は,女性団体をはじめとする「女性]の利益を代表するアクターが政治過程に参加することで,福祉の拡充がもたらされると論じてきた。この中で,女性団体はアウトサイダーとして,福祉拡充の世論形成に重要な役割を果たしつつ,時に労働団体や左派政党と連携して,政策起業家として福祉政策を主導してきたことが指摘されてきた。その一方で,先行研究では,女性団体と福祉政策の関係についてデータを用いた実証分析がほとんどなされてこなかった。そこで本稿では韓国の基礎自治体の福祉予算の規定要因を分析し,女性...
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| Published in | 公共政策研究 Vol. 23; pp. 139 - 155 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本公共政策学会
2023
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 2186-5868 2434-5180 |
| DOI | 10.32202/publicpolicystudies.23.0_139 |
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| Summary: | 本稿は,韓国における基礎自治体のパネルデータを用いて,女性団体の活動が自治体の福祉予算に与える影響を明らかにした。先行研究は,女性団体をはじめとする「女性]の利益を代表するアクターが政治過程に参加することで,福祉の拡充がもたらされると論じてきた。この中で,女性団体はアウトサイダーとして,福祉拡充の世論形成に重要な役割を果たしつつ,時に労働団体や左派政党と連携して,政策起業家として福祉政策を主導してきたことが指摘されてきた。その一方で,先行研究では,女性団体と福祉政策の関係についてデータを用いた実証分析がほとんどなされてこなかった。そこで本稿では韓国の基礎自治体の福祉予算の規定要因を分析し,女性団体の活動が福祉予算にいかなる影響を与えるのかを検討した。その際機械学習を導入した抗議イベント分析を用いて,韓国語の新聞記事を分類することで,韓国各地の女性団体の活動に関する独自のデータを構築した。差の差法(DID)による分析の結果,女性団体による抗議の有無が自治体の福祉予算に影響を与えるとは言えないが,進歩的な女性団体のみが抗議をしている場合か,女性・福祉に関するシグナルを発する抗議のみが観察される場合に,その2-3年後の人口一人当たり福祉予算が増加することが明らかになった。 |
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| ISSN: | 2186-5868 2434-5180 |
| DOI: | 10.32202/publicpolicystudies.23.0_139 |