重症患者における血中エンドセリン-1濃度と障害臓器数の関係

エンドセリン(endothelin;ET)-1は,主に血管内皮細胞で産生,分泌される強力な血管収縮性ペプチドであり種々の病態で上昇する。ET-1と多臓器障害との関係を解明するため,重症患者46名(63.5±2.0歳)の血中ET-1濃度を測定し臓器障害数との関連を検討した。入室時のET-1濃度は11.0±1.0(SE)pg・ml-1で健常者(1.5±0.1pg・ml-1)より有意(P<0.01)に高く入室時のAPACHE IIIスコアと正の相関を示した。1および2臓器障害群のET-1濃度は,それぞれn=16:7.6±1.3pg・ml-1,n=13:8.9±1.1pg・ml-1で,両群間に有...

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Published in日本集中治療医学会雑誌 Vol. 4; no. 1; pp. 33 - 38
Main Authors 角田, 幸雄, 三高, 千恵子, 名倉, 節, 天羽, 敬祐
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本集中治療医学会 01.01.1997
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ISSN1340-7988
1882-966X
DOI10.3918/jsicm.4.33

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Summary:エンドセリン(endothelin;ET)-1は,主に血管内皮細胞で産生,分泌される強力な血管収縮性ペプチドであり種々の病態で上昇する。ET-1と多臓器障害との関係を解明するため,重症患者46名(63.5±2.0歳)の血中ET-1濃度を測定し臓器障害数との関連を検討した。入室時のET-1濃度は11.0±1.0(SE)pg・ml-1で健常者(1.5±0.1pg・ml-1)より有意(P<0.01)に高く入室時のAPACHE IIIスコアと正の相関を示した。1および2臓器障害群のET-1濃度は,それぞれn=16:7.6±1.3pg・ml-1,n=13:8.9±1.1pg・ml-1で,両群間に有意差はなかったが,3および4臓器障害群(それぞれn=10:15.1±2.6pg・ml-1,n=7:14.9±2.4pg・ml-1)は,1-2臓器障害群に比較して有意に増加していた。生存群(n=30)のET-1濃度は,退室時には有意に低下した。内因性ET-1は,ICU入室時における重症度に応じて上昇し,ET-1の過剰分泌の遷延化と多臓器障害における障害臓器数との間に関連があることが示唆された。
ISSN:1340-7988
1882-966X
DOI:10.3918/jsicm.4.33