露出セメント質の表面性状について (その4)

露出根面にスケーリング (S群) およびルートプレーニング (R群) を施したものと両処置につづいて, さらにAir power abrasive system (APA system) 処置を加えたもの (S+A群とR+A群) の4群を設定し, 多角的に観察した結果, つぎのような結論を得た。すなわち, X線分析計によるCa, PおよびCa/P比は, 各数値ともに, S群が最大値, R+A群が最低値を示していた。また, 走査型電顕では, キュレットタイプスケーラーによる条痕がAPA systemで処置することにより, それがやや不明瞭になってきていた。さらに, X線光電子分光分析法による観察...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 34; no. 2; pp. 430 - 436
Main Authors 山岡, 昭, 小西, 浩二, 寺西, 義浩, 稲田, 芳樹, 上村, 参生, 神原, 正樹, 中垣, 直毅, 熨斗, 秀光, 上田, 雅俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 1992
日本歯周病学会
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ISSN0385-0110
1880-408X
DOI10.2329/perio.34.430

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Summary:露出根面にスケーリング (S群) およびルートプレーニング (R群) を施したものと両処置につづいて, さらにAir power abrasive system (APA system) 処置を加えたもの (S+A群とR+A群) の4群を設定し, 多角的に観察した結果, つぎのような結論を得た。すなわち, X線分析計によるCa, PおよびCa/P比は, 各数値ともに, S群が最大値, R+A群が最低値を示していた。また, 走査型電顕では, キュレットタイプスケーラーによる条痕がAPA systemで処置することにより, それがやや不明瞭になってきていた。さらに, X線光電子分光分析法による観察におけるCa, P, O, F, およびNの相対濃度は, S群およびR群と, S+A群およびR+A群の各元素比較では, それぞれ両群ともほとんど差は認められなかった。しかし, S群およびS+A群と, R群およびR+ A群の比較では, Ca濃度の増加によるCa/P比の増加を示した。さらに, セメント質最表層の元素の結合エネルギーについては, Ca2Pの結合エネルギーは, Hydroxyapatite (HAp) を示すエネルギーとほぼ同じであった。また, P2pの結合エネルギーはS群およびR群に比べ, S+A群およびR+A群はそれぞれ低エネルギー側にシプトしていた。さらにFlsの結合エネルギーから, 各試料最表層にとりこまれるFはFHApの形で存在していることを示した。接触角の観察結果では, S群が最低値, R+A群が最高値を示しており, R+A群の値は非露出根面とほぼ同様の値であった。
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.34.430