乳児白血病の免疫学的, 細胞遺伝学的検討

年齢1歳未満の乳児白血病23例の細胞膜マーカーおよび染色体を検索し, その特徴を検討した.細胞膜マーカーでは, 急性リンパ性白血病 (ALL) 13例中11例はJ5 (CD10) 陰性で, HLA-DR, B4 (CD 19) 陽性であった.このうち2例はMY7 (CD13) が陽性で, 経過中にM5bに1ineage switch した.さらに4例は短期培養後に骨髄単球系抗原が陽性となった.急性非リンパ性白血病 (ANLL) 10例中6例が骨髄単球性あるいは単球性で, 4例が巨核球性白血病であった.染色体分析ではALL 9例中8例が, ANLL 6例中3例が11q23転座型であった.巨核球性...

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Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 4; no. 2; pp. 147 - 152
Main Authors 杉田, 完爾, 西野, 和良, 安倍, 隆, 斎藤, みどり, 菊池, 英之, 鈴木, 敏雄, 中澤, 眞平, 岡崎, 敏子, 林, 泰秀, 稲葉, 俊哉, 森, 泰二郎, 高根, 恵子, 木下, 明俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 1990
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ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.4.147

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Summary:年齢1歳未満の乳児白血病23例の細胞膜マーカーおよび染色体を検索し, その特徴を検討した.細胞膜マーカーでは, 急性リンパ性白血病 (ALL) 13例中11例はJ5 (CD10) 陰性で, HLA-DR, B4 (CD 19) 陽性であった.このうち2例はMY7 (CD13) が陽性で, 経過中にM5bに1ineage switch した.さらに4例は短期培養後に骨髄単球系抗原が陽性となった.急性非リンパ性白血病 (ANLL) 10例中6例が骨髄単球性あるいは単球性で, 4例が巨核球性白血病であった.染色体分析ではALL 9例中8例が, ANLL 6例中3例が11q23転座型であった.巨核球性白血病2例に+21を認めた.以上の結果から乳児白血病は, 細胞膜マーカー上では, 多様性に富んだ疾患群ではあるが, 巨核球性白血病を除いた大部分の白血病は, lymphoid系やmyeloid系の双方, とくにmonocytoid系へ分化可能な幹細胞由来で, biphenotypeの特徴を有していると考えられる.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.4.147