下咽頭癌喉頭温存手術の術後合併症と術後管理の検討

2004年から2008年までに当科で一次治療を行った喉頭温存手術を施行した下咽頭癌8症例を対象に,術後合併症,術後管理上の問題点について検討した。術後合併症に関して,全例で患側反回神経麻痺を認め,半数の症例で嚥下障害や嚥下性肺炎を認めた。さらに嚥下障害症例中の1例で退院後も経管栄養が必要となり,嚥下性肺炎症例中の1例で膿胸と薬剤性腎障害を併発した。術式の検討からは,下咽頭全周切除,遊離空腸管状再建症例で嚥下障害,嚥下性肺炎の発症頻度が高かった。術後管理上の問題点として,気管孔閉鎖不全によるエアリークや,鎮静剤,抗うつ剤などの使用による胃腸蠕動運動の抑制が,嚥下性肺炎発症のきっかけになっていると...

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Published in頭頸部外科 Vol. 20; no. 3; pp. 217 - 224
Main Authors 那須, 隆, 石田, 晃弘, 小池, 修治, 青柳, 優, 野田, 大介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 28.02.2011
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.20.217

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Summary:2004年から2008年までに当科で一次治療を行った喉頭温存手術を施行した下咽頭癌8症例を対象に,術後合併症,術後管理上の問題点について検討した。術後合併症に関して,全例で患側反回神経麻痺を認め,半数の症例で嚥下障害や嚥下性肺炎を認めた。さらに嚥下障害症例中の1例で退院後も経管栄養が必要となり,嚥下性肺炎症例中の1例で膿胸と薬剤性腎障害を併発した。術式の検討からは,下咽頭全周切除,遊離空腸管状再建症例で嚥下障害,嚥下性肺炎の発症頻度が高かった。術後管理上の問題点として,気管孔閉鎖不全によるエアリークや,鎮静剤,抗うつ剤などの使用による胃腸蠕動運動の抑制が,嚥下性肺炎発症のきっかけになっていると考えられた。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.20.217