ショックとThyrotropin-releasing hormone (TRH)

ショックのさいの脳の状態を研究することはショック研究でも未開の分野である. 多くのニューロペプチドがショックの中枢性防御反応で, 生体の危急に際し特異な作用を発揮するが, TRHもそのひとつである. われわれはTRHの昇圧, 抗ショック作用, ショッグの進行につれてTRHがどのように脳内で増減するか, その変化の著しいのは脳のどの部分であるか, などを出血性ショックにおいて検索し, TRHの遊離と抗ショック作用の本態が, 心血管系の中枢調節に由来し, 出血の刺激によって中隔のTRH含有神経終末の脱分極によりTRHの遊離が増加し, その結果TRHは交感神経―副腎髄質系を介して昇圧と心拍数促進を起...

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Published in医療 Vol. 45; no. 3; pp. 225 - 232
Main Authors 田中, 宏, 奥田, 千恵子, 宮崎, 正夫, 溝部, 俊樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1991
国立医療学会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.45.225

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Summary:ショックのさいの脳の状態を研究することはショック研究でも未開の分野である. 多くのニューロペプチドがショックの中枢性防御反応で, 生体の危急に際し特異な作用を発揮するが, TRHもそのひとつである. われわれはTRHの昇圧, 抗ショック作用, ショッグの進行につれてTRHがどのように脳内で増減するか, その変化の著しいのは脳のどの部分であるか, などを出血性ショックにおいて検索し, TRHの遊離と抗ショック作用の本態が, 心血管系の中枢調節に由来し, 出血の刺激によって中隔のTRH含有神経終末の脱分極によりTRHの遊離が増加し, その結果TRHは交感神経―副腎髄質系を介して昇圧と心拍数促進を起こすことがわかった. 麻酔薬や低体温はその作用を抑制する傾向を有する.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.45.225