過去10年間に経験した壊死性リンパ節炎の臨床的検討

過去10年間に当科で経験した12例の壊死性リンパ節炎について臨床的検討を加えた.診断はリンパ節生検による特徴的な病理学的所見を根拠とした.診断時の年齢は4歳から13歳で, 男女比は11 : 1であった.兄妹例が1組あり, 3例が反復して本症に罹患した.患者は, 同一の年に集蔟する傾向があり, また6例が10~12月に発症していた.全例に頸部リンパ節の腫脹がみられ, 38℃以上の発熱期間は3~39日であった.Minocyclineが投与された7例中4例で臨床的改善を認めた.急性期の免疫学的検索では, ツベルクリン反応の陰性化, 血中IL-6やIFN-γの高値, 白血球走化性の低下が観察された.末...

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Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 14; no. 1; pp. 9 - 12
Main Authors 渡邊, 健一郎, 宇佐美, 郁哉, 今井, 剛, 奥田, 晃朗, 林, 英蔚, 久保田, 優, 濱畑, 啓悟, 足立, 壮一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 29.02.2000
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ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.14.9

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Summary:過去10年間に当科で経験した12例の壊死性リンパ節炎について臨床的検討を加えた.診断はリンパ節生検による特徴的な病理学的所見を根拠とした.診断時の年齢は4歳から13歳で, 男女比は11 : 1であった.兄妹例が1組あり, 3例が反復して本症に罹患した.患者は, 同一の年に集蔟する傾向があり, また6例が10~12月に発症していた.全例に頸部リンパ節の腫脹がみられ, 38℃以上の発熱期間は3~39日であった.Minocyclineが投与された7例中4例で臨床的改善を認めた.急性期の免疫学的検索では, ツベルクリン反応の陰性化, 血中IL-6やIFN-γの高値, 白血球走化性の低下が観察された.末梢血CD4/CD8の逆転 (1.0以下) は2例でみられたが, PHAに対するリンパ球芽球化反応が低下する例はなかった.小児期の壊死性リンパ節炎のまとまった報告は少なく, 本研究はその病態の理解に有益と思われる.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.14.9