PJRTの機序としてatrio-fascicular pathwayの関与が示唆された一例

症例は15歳の男子高校生.心拍数105/分で頻拍依存性の不完全右脚ブロック波形のlong RP頻拍が出没を繰り返していた.電気生理学的検査中, 頻拍は房室ブロックが出現しても持続したが, ヒス束が不応期の時の心室刺激で奇異性遅延を示した.心室刺激時に2種類の副伝導路の存在が示唆され, 一方は潜在性のatrio-hisian pathwayで, もう一方は, 潜在性で逆行性に減衰伝導を示し, 房室接合部の遅伝導路と右脚を連結するatrio-fascicular pathway (AFP) が考えられた.頻拍の回路は, 房室接合部の速伝導路→右脚→AFP→房室接合部の遅伝導路→心房で構成され, A...

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Published in心電図 Vol. 15; no. 1; pp. 66 - 76
Main Authors 八木, 哲夫, 滑川, 明男, 小田倉, 弘典, 大友, 淳, 尾形, 和則, 伊藤, 明一, 石田, 明彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 1995
Subjects
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.15.66

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Summary:症例は15歳の男子高校生.心拍数105/分で頻拍依存性の不完全右脚ブロック波形のlong RP頻拍が出没を繰り返していた.電気生理学的検査中, 頻拍は房室ブロックが出現しても持続したが, ヒス束が不応期の時の心室刺激で奇異性遅延を示した.心室刺激時に2種類の副伝導路の存在が示唆され, 一方は潜在性のatrio-hisian pathwayで, もう一方は, 潜在性で逆行性に減衰伝導を示し, 房室接合部の遅伝導路と右脚を連結するatrio-fascicular pathway (AFP) が考えられた.頻拍の回路は, 房室接合部の速伝導路→右脚→AFP→房室接合部の遅伝導路→心房で構成され, A-Hブロックが出現したときのみ非通常型房室結節リエントリーへ回路が変化したと思われた.PJRTの機序として心房端が房室接合部の遅伝導路, 心室端が右脚に存在する潜在性AFPが関与することが推測された1例を経験したので報告した.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.15.66