慢性孤立性心房細動患者の運動時の心拍応答と心拍出量との関係

慢性孤立性心房細動患者の運動時の過大な心拍応答が運動機能に及ぼす影響について検討した.基礎心疾患のない慢性孤立性心房細動患者10名 (男8名, 女2名, 年齢46~71歳, 平均55歳) であり, 同年齢の健常人22名 (男12名, 女10名, 年齢40~69歳, 平均52歳) を正常対照として用いた.トレッドミル運動時に, 連続波ドプラ法を用いて上行大動脈血流を記録し, 心係数を求めた.心拍数は心房細動患者では健常人より安静時, 運動時とも有意に大であり, diltiazem投与後有意な減少は得られたものの, 健常人よりは有意に大であった.一方, 心係数は心房細動患者ではdiltiazem投...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心電図 Vol. 14; no. 2; pp. 84 - 88
Main Author 岩瀬, 正嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 1994
Online AccessGet full text
ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.14.84

Cover

More Information
Summary:慢性孤立性心房細動患者の運動時の過大な心拍応答が運動機能に及ぼす影響について検討した.基礎心疾患のない慢性孤立性心房細動患者10名 (男8名, 女2名, 年齢46~71歳, 平均55歳) であり, 同年齢の健常人22名 (男12名, 女10名, 年齢40~69歳, 平均52歳) を正常対照として用いた.トレッドミル運動時に, 連続波ドプラ法を用いて上行大動脈血流を記録し, 心係数を求めた.心拍数は心房細動患者では健常人より安静時, 運動時とも有意に大であり, diltiazem投与後有意な減少は得られたものの, 健常人よりは有意に大であった.一方, 心係数は心房細動患者ではdiltiazem投与前後とも健常人と有意な差を認めなかった. 以上の結果から, 安静時の心機能が正常な孤立性心房細動患者であれば, 心房細動による運動時の過剰な心拍応答が運動時の心拍出量増加に及ぼす悪影響はほとんどなく, 運動時の頻拍を抑制する必要性も低いと考えられた.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.14.84