口腔内での花火破裂を契機とした深頸部膿瘍の1例

症例は33歳男性,ロケット花火が口腔内で爆発し受傷,頸部腫張を自覚し近医受診,頸部皮下気腫,縦隔気腫,咽頭熱傷の診断にて救急搬送された。当初呼吸状態も安定していたため保存的に治療を行っていたが,左側下咽頭側壁から後壁にかけての粘膜の浮腫が著明となり,また壊死が加わり,進行した。画像診断では,咽頭後間隙を中心とした深頸部膿瘍の形成が認められ,さらに縦隔内にまで進展していることが指摘されたため,頸部外切開によるドレナージを行ったところ,花火の爆発片を咽頭後間隙内に認めたため,これを除去した上,周囲の壊死組織の切除,咽頭裂傷部の縫合と共に,縦隔及び胸腔ドレナージを行った。術後,局所処置,抗生剤投与を...

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Published in頭頸部外科 Vol. 19; no. 2; pp. 125 - 129
Main Authors 藤澤, 琢郎, 竹村, 博一, 永田, 基樹, 友田, 幸一, 湯川, 尚哉, 阪上, 智史, 井上, 俊哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2009
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.19.125

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Summary:症例は33歳男性,ロケット花火が口腔内で爆発し受傷,頸部腫張を自覚し近医受診,頸部皮下気腫,縦隔気腫,咽頭熱傷の診断にて救急搬送された。当初呼吸状態も安定していたため保存的に治療を行っていたが,左側下咽頭側壁から後壁にかけての粘膜の浮腫が著明となり,また壊死が加わり,進行した。画像診断では,咽頭後間隙を中心とした深頸部膿瘍の形成が認められ,さらに縦隔内にまで進展していることが指摘されたため,頸部外切開によるドレナージを行ったところ,花火の爆発片を咽頭後間隙内に認めたため,これを除去した上,周囲の壊死組織の切除,咽頭裂傷部の縫合と共に,縦隔及び胸腔ドレナージを行った。術後,局所処置,抗生剤投与を継続して行い,改善した。 本症例は救命し得たが,開胸による縦隔ドレナージを要する結果となり,受傷当日の頸部外切開等の早期対応が必要な症例であったと考えられた。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.19.125