里親委託児における発達障害の可能性と被虐待経験の調査

里子の養育が困難になる主要因に、発達障害児や被虐待児のケアの難しさが指摘されている。里子と里親の支援体制整備のために、地域ベースで発達障害と被虐待経験を把握することを目的とした。里親に文部科学省の行なっている調査と同じ質問紙「不注意」「多動性-衝動性」「対人関係やこだわり等」への回答を依頼した。被虐待経験の有無にかかわらず、里子では全ての領域で文部科学省の報告よりも高いポイントに分布していた。被虐待経験のある里子の33.8%に「不注意」の著しい困難が、15.4%に「多動性-衝動性」の著しい困難が、25.4%に「対人関係やこだわり等」の著しい困難があることが明らかになった。里子の教育的支援はもち...

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Published in特殊教育学研究 p. 23B031
Main Authors 鈴木, 保巳, 林, 恵津子, 寺田, 信一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本特殊教育学会 2025
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ISSN0387-3374
2186-5132
DOI10.6033/tokkyou.23B031

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Summary:里子の養育が困難になる主要因に、発達障害児や被虐待児のケアの難しさが指摘されている。里子と里親の支援体制整備のために、地域ベースで発達障害と被虐待経験を把握することを目的とした。里親に文部科学省の行なっている調査と同じ質問紙「不注意」「多動性-衝動性」「対人関係やこだわり等」への回答を依頼した。被虐待経験の有無にかかわらず、里子では全ての領域で文部科学省の報告よりも高いポイントに分布していた。被虐待経験のある里子の33.8%に「不注意」の著しい困難が、15.4%に「多動性-衝動性」の著しい困難が、25.4%に「対人関係やこだわり等」の著しい困難があることが明らかになった。里子の教育的支援はもちろんのこと、里親不調を防ぐために里親への支援も喫緊の課題である。また、社会的養護を必要とする者では、発達障害の可能性のある例が多いことを踏まえ、特別な支援を成人後も継続する支援体制が望まれる。
ISSN:0387-3374
2186-5132
DOI:10.6033/tokkyou.23B031