本邦における小児細菌性髄膜炎の動向(2007~2008)

2007 年1 月から2008 年12 月までの2 年間に全国112 施設から小児細菌性髄膜炎287 症例(男児160,女児127)が報告された. 年齢別では生後1 カ月未満が28 例,1 カ月~1 歳未満が132 例,1 歳以上は127 例であった.原因菌はHaemophilus influenzae が163 例と最も多く,次いでStreptococcus pneumoniae 54 例,Streptococcus agalactiae(GBS) 26 例,Escherichia coli 9 例の順で,GBS,E. coli は低年齢での発症が多かった.H. influenzae は1...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 84; no. 1; pp. 33 - 41
Main Authors 酒井, 文宜, 岩田, 敏, 花木, 秀明, 砂川, 慶介, 平尾, 百合子, 佐藤, 吉壮, 秋田, 博伸, 野々山, 勝人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 2010
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi.84.33

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Summary:2007 年1 月から2008 年12 月までの2 年間に全国112 施設から小児細菌性髄膜炎287 症例(男児160,女児127)が報告された. 年齢別では生後1 カ月未満が28 例,1 カ月~1 歳未満が132 例,1 歳以上は127 例であった.原因菌はHaemophilus influenzae が163 例と最も多く,次いでStreptococcus pneumoniae 54 例,Streptococcus agalactiae(GBS) 26 例,Escherichia coli 9 例の順で,GBS,E. coli は低年齢での発症が多かった.H. influenzae は1 カ月~6 歳に,S. pneumoniae は2 カ月~13 歳に分布していた.H. influenzae,S. pneumoniae ともに耐性化が進んでいたが,H. influenzae は2003 年の70.4%をピークに,S. pneumoniae は2004 年の83.0%をピークとして感性株が再び増加する傾向が見られ,今回の調査では耐性株は,H. influenzae が2007 年55.5%,2008 年51.3%, S.pneumoniae が2007 年72.0%,2008 年56.5%であった. 細菌性髄膜炎の初期治療に使用した抗菌薬の種類は,4 カ月未満では,従来の標準的治療法とされているAmpicillin+セフェムならびにセフェム+カルバペネムの2剤を併用した症例が多く,H. influenzae やS. pneumoniae が原因細菌として多くなる4 カ月以降に関しては,耐性菌を考慮したカルバペネム+セフェムの併用が多くを占めた.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi.84.33