第12回臨床不整脈研究会 妊娠中消失した左脚ブロック下方軸型特発性心室頻拍の1例

症例は27歳女性.中学生の頃から不整脈を指摘されていた.平成10年4月,感冒様症状にて当科受診,左脚ブロック,下方軸型非持続性心室頻拍の頻発を認めた. 胸部X 線, 心エコー図検査では異常なく,ホルター心電図では1日総VPC数約7,400個で,うち4,200個が3連発以上であった.薬物負荷ではリドカイン,ジソピラミド,ATPの静注およびβblockerの内服は無効でベラパミルの静注が有効であったが内服投与は無効であった.心臓電気生理検査では左冠動脈入口部の約5mm下方の左冠動脈洞内にてperfect pacemapの所見を認めたが冠動脈損傷の危険性を考慮しカテーテルアブレーションは断念した.患...

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Published in心臓 Vol. 32; no. Supplement6; pp. 3 - 9
Main Authors 青沼, 和隆, 望月, 淳, 山内, 康照, 浅川, 哲也, 松村, 国佳, 望月, 弘人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2000
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.32.Supplement6_3

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Summary:症例は27歳女性.中学生の頃から不整脈を指摘されていた.平成10年4月,感冒様症状にて当科受診,左脚ブロック,下方軸型非持続性心室頻拍の頻発を認めた. 胸部X 線, 心エコー図検査では異常なく,ホルター心電図では1日総VPC数約7,400個で,うち4,200個が3連発以上であった.薬物負荷ではリドカイン,ジソピラミド,ATPの静注およびβblockerの内服は無効でベラパミルの静注が有効であったが内服投与は無効であった.心臓電気生理検査では左冠動脈入口部の約5mm下方の左冠動脈洞内にてperfect pacemapの所見を認めたが冠動脈損傷の危険性を考慮しカテーテルアブレーションは断念した.患者は妊娠を強く希望していたため無投薬にて経過観察していたところ平成11年1月妊娠した.平成11年6月,脈の乱れのないことに気付き当科受診,ホルター心電図にてVPC,NSVTは全く消失しており,出産時もVPCの出現なく無事に健康な女児を出産した.本症例は妊娠と不整脈との関係を考える上で非常に興味ある症例と思われ報告した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.32.Supplement6_3