システム・ダイナミックスモデルを用いた超長期の日本経済将来展望

本稿は、人口変動、地球温暖化など、地球規模で経済社会に大きな影響を及ぼす可能性のある変数の変動が日本の経済社会に及ぼす影響について、2100年頃までの期間における変化の程度として、システム・ダイナミックスモデルを用いて定量的に分析、考察を試みた結果の報告である。本試算の特徴は、変数の変動について、一様にランダムに連続的に数万通り程度を生成させることで、将来に生じ得る変動をできるだけ機械的で大量なものとしたことである。あり得る将来像ができるだけ幅広く描かれるモデルとすることによって、試算結果の検討、考察も幅広いものとして、できるだけ多くの可能性のある必要な政策対応を見出したいと考えたことによる。...

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Bibliographic Details
Published in経済分析 Vol. 210; p. 210_07
Main Authors 権田 直, 髙橋 千里, 山本 耀大, 野村 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 内閣府経済社会総合研究所 24.07.2025
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ISSN0453-4727
2758-9900
DOI10.60294/keizaibunseki.210_07

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Summary:本稿は、人口変動、地球温暖化など、地球規模で経済社会に大きな影響を及ぼす可能性のある変数の変動が日本の経済社会に及ぼす影響について、2100年頃までの期間における変化の程度として、システム・ダイナミックスモデルを用いて定量的に分析、考察を試みた結果の報告である。本試算の特徴は、変数の変動について、一様にランダムに連続的に数万通り程度を生成させることで、将来に生じ得る変動をできるだけ機械的で大量なものとしたことである。あり得る将来像ができるだけ幅広く描かれるモデルとすることによって、試算結果の検討、考察も幅広いものとして、できるだけ多くの可能性のある必要な政策対応を見出したいと考えたことによる。試算の結果、日本の総人口は、現在の1億2千万人に対して、2100年頃には、最大で1億3千万人程度から最小で4千万人程度となった。GDPは、現在の 4.4 兆ドルに対して、2100 年には、最大で20兆ドル程度から最小で3.0兆ドル程度となった。ウェルビーイングは、現在を1とした場合に、2100年には、最大で4.0程度から最小で0.2程度となった。人口変動においては、総人口と一人当たりGDPに対して、特に、若年層への所得分配と、外国人の受け入れが、出力結果を特徴付ける変数として重要であることが示唆された。地球温暖化においては、排出源毎のCO2量と炭素回収量に対して、特に、できるだけ早期の再生可能エネルギーの拡大と、資材等の国産化が重要であることが示唆された。
ISSN:0453-4727
2758-9900
DOI:10.60294/keizaibunseki.210_07