入口減少社会における基礎的地方公共団体のあり方―特に小規模市町村を中心に

本稿では,少子高齢化・人口減少が進む現在,フルセットを装備した基礎的地方公共団体を維持することが難しい地域が多く出現する中,特に小規模市町村を念頭に置き, 10年後の基礎的地方公共団体のあり方について論じることを目的としている。平成の大合併後広域連携が推進される中,広域連携が小規模な基礎的地方公共団体に及ぼす影響や,広域的地方公共団体として既に存在している都道府県との関係で小規模な基礎的地方公共団体をどのように捉えるべきかに着目した場合,全ての基礎的地方公共団体がフルセットを装備せず,地方公共団体がそれぞれの有する強みを活かし,それぞれの持つ情報を共有し資源を融通し合うという方向性自体は妥当で...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in公共政策研究 Vol. 23; pp. 37 - 48
Main Author 今本, 啓介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公共政策学会 2023
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN2186-5868
2434-5180
DOI10.32202/publicpolicystudies.23.0_37

Cover

More Information
Summary:本稿では,少子高齢化・人口減少が進む現在,フルセットを装備した基礎的地方公共団体を維持することが難しい地域が多く出現する中,特に小規模市町村を念頭に置き, 10年後の基礎的地方公共団体のあり方について論じることを目的としている。平成の大合併後広域連携が推進される中,広域連携が小規模な基礎的地方公共団体に及ぼす影響や,広域的地方公共団体として既に存在している都道府県との関係で小規模な基礎的地方公共団体をどのように捉えるべきかに着目した場合,全ての基礎的地方公共団体がフルセットを装備せず,地方公共団体がそれぞれの有する強みを活かし,それぞれの持つ情報を共有し資源を融通し合うという方向性自体は妥当であるものの,特に,連携中枢都市圏や定住自立圏で周辺市町村に位置づけられるか,圏域に入れないことから都道府県の補完・支援を受けることとなる小規模な基礎的地方公共団体において,現在の地方自治法が予定している市町村中心主義が維持できない可能性があること,及びそうした基礎的地方公共団体にしか属しないことが地方自治の本旨に抵触する可能性があることを指摘する。そのうえで,従来当然のこととされてきたすべての区域が基礎的地方公共団体に属するという前提が崩れる可能性があることから,そうした状況にも対応できる基礎的地方公共団体のあり方を今後検討することが必要であると結論付けている。
ISSN:2186-5868
2434-5180
DOI:10.32202/publicpolicystudies.23.0_37