虚血性心疾患治療貼付剤による皮膚刺激発現と角質剥離量の関係

「緒言」近年, わが国においても人口の高齢化や, 動物性脂肪を多量に摂取する食生活の欧米化に伴い, 狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患が増加している. 狭心症の治療薬としては, ニトログリセリン, 硝酸イソソルビトなどの硝酸亜硝酸薬が古くから用いられている. 1981年アメリカのAlza社がスコポラミン経皮吸収製剤を開発してから, 全身作用を目的とした薬物の適用部位としての皮膚が注目され様々な経皮吸収製剤が開発されている. わが国においても1984年に硝酸イソソルビドの経皮吸収貼付製剤としてフランドルテープが開発され, その後, 硝酸亜硝酸薬の経皮吸収製剤が各種発売され繁用されている1, 2)...

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Published in病院薬学 Vol. 24; no. 5; pp. 526 - 532
Main Authors 飯塚, 敏美, 平本, 要, 峯岸, 祥子, 石塚, 英夫, 石倉, 千代治, 三溝, 和男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本医療薬学会 1998
日本病院薬学会
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ISSN0389-9098
2185-9477
DOI10.5649/jjphcs1975.24.526

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Summary:「緒言」近年, わが国においても人口の高齢化や, 動物性脂肪を多量に摂取する食生活の欧米化に伴い, 狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患が増加している. 狭心症の治療薬としては, ニトログリセリン, 硝酸イソソルビトなどの硝酸亜硝酸薬が古くから用いられている. 1981年アメリカのAlza社がスコポラミン経皮吸収製剤を開発してから, 全身作用を目的とした薬物の適用部位としての皮膚が注目され様々な経皮吸収製剤が開発されている. わが国においても1984年に硝酸イソソルビドの経皮吸収貼付製剤としてフランドルテープが開発され, その後, 硝酸亜硝酸薬の経皮吸収製剤が各種発売され繁用されている1, 2). これらの狭心症治療貼付剤は, 1日に1回の貼付で長時間血中濃度が維持される特効性製剤であり, 経口投与に比べて頭痛などの副作用が軽減できるため, コンプライアンスの観点からも非常に有用な製剤である. その反面, 継続して貼付することにより, 貼付部位のかゆみや発疹などの皮膚刺激が発現しやすい製剤である. これら貼付剤の皮膚刺激は, 剥離時に生じる一次刺激と免疫反応による二次刺激があり, 既存の硝酸エステル系の貼付剤では, 一次刺激が大部分である3). 一次皮膚刺激性による皮膚反応と貼付剤を貼付し剥がす際に生じる角質の剥がれ, すなわち角質剥離量との間には, ウサギを用いた実験で正の相関があると報告されている1). 今回我々は, 角質剥離量と一次皮膚刺激の関係を明らかにするため, 貼付剤の使用患者を対象に皮膚刺激に関するアンケート調査を行い, 同時に貼付後の薬剤を回収し, 貼付剤に付着した角質剥離量を測定した. また, 角質剥離量に影響すると考えられる貼付剤の粘着力との関係を各種貼付剤について比較検討した.
ISSN:0389-9098
2185-9477
DOI:10.5649/jjphcs1975.24.526