悪性肢帯型筋ジストロフィー(三好)患者におけるサルコグリカンの遺伝子異常ならびに臨床像と剖検心所見

遺伝・臨床的に悪性肢帯型と診断されていた筋ジストロフィー症例で, αあるいはγ-サルコグリカンの遺伝子が明らかにされた症例を報告する. 症例1は56歳女性で, 両親はいとこ婚である. 5歳で発症し, 13歳で歩行不能となった. 症例2は31歳の女性で症例1の姪であり, ほぼ同じ臨床経過を示した. 症例3は13歳の弧発例の女児で, 6歳で発症し, 10歳より登はん性起立がみられた. いづれも知能は正常で, 四肢近位部に優位な筋萎縮がみられ, 腓腹筋には軽度の肥大が認められた. 心エコーでは3例とも正常であった. 生検筋の免疫組織化学ではジストロフィンは筋細胞膜上に正常に染色されたが, α-, β...

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Published in医療 Vol. 54; no. 9; pp. 419 - 423
Main Authors 齋藤, 美穂, 国重, 誠, 乾, 俊夫, 足立, 克仁, 馬木, 良文, 木村, 千代美, 川井, 尚臣, 上田, 由利子, 赤池, 雅史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 20.09.2000
国立医療学会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.54.419

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Summary:遺伝・臨床的に悪性肢帯型と診断されていた筋ジストロフィー症例で, αあるいはγ-サルコグリカンの遺伝子が明らかにされた症例を報告する. 症例1は56歳女性で, 両親はいとこ婚である. 5歳で発症し, 13歳で歩行不能となった. 症例2は31歳の女性で症例1の姪であり, ほぼ同じ臨床経過を示した. 症例3は13歳の弧発例の女児で, 6歳で発症し, 10歳より登はん性起立がみられた. いづれも知能は正常で, 四肢近位部に優位な筋萎縮がみられ, 腓腹筋には軽度の肥大が認められた. 心エコーでは3例とも正常であった. 生検筋の免疫組織化学ではジストロフィンは筋細胞膜上に正常に染色されたが, α-, β-, γ-サルコグリカンの染色性はほとんどみられなかった. 症例1の剖検心所見では左室の後下壁に線維化が認められ, 心筋細胞にはサルコグリカンが欠損していた. 症例1, 2はα-サルコグリカン遺伝子に, 症例3はγ-サルコグリカン遺伝子に異常が認められた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.54.419