フェムト秒レーザーアブレーション─ICP質量分析法による多種微量元素の定量分析のための有機マトリックス標準試料の開発

フェムト秒レーザーでのアブレーションによるサンプリング技術と,誘導結合プラズマ質量分析法を組み合わせた「フェムト秒レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析法」(fsLA-ICP-MS法)が,さまざまな固体試料中の主成分や微量成分の高感度,高速な分析法として注目を集めている.fsLA-ICP-MS法を用いることで,硝酸,塩酸,フッ酸などの危険な試薬を用いた煩雑な前処理を行うことなく,また,環境や実験器具による元素汚染の影響を受けることなく,超高感度な元素分析が可能である.一方で,これまでfsLA-ICP-MS法による有機マトリックス中の微量元素の定量分析に適した標準物質がなかったため,さま...

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Published in分析化学 Vol. 72; no. 10.11; pp. 463 - 469
Main Authors 槇納, 好岐, 平兮, 康彦, 岩戸, 薫, 平田, 岳史, 椙山, 卓郎, 栗原, かのこ, 寺尾, 祐子, 宮下, 陽介, 山下, 修司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.10.2023
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.72.463

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Summary:フェムト秒レーザーでのアブレーションによるサンプリング技術と,誘導結合プラズマ質量分析法を組み合わせた「フェムト秒レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析法」(fsLA-ICP-MS法)が,さまざまな固体試料中の主成分や微量成分の高感度,高速な分析法として注目を集めている.fsLA-ICP-MS法を用いることで,硝酸,塩酸,フッ酸などの危険な試薬を用いた煩雑な前処理を行うことなく,また,環境や実験器具による元素汚染の影響を受けることなく,超高感度な元素分析が可能である.一方で,これまでfsLA-ICP-MS法による有機マトリックス中の微量元素の定量分析に適した標準物質がなかったため,さまざまな試料中の元素濃度を正確に測定することが困難だった.この問題を克服するため,0.1〜100 mg kg−1の幅広い濃度範囲で18種類の元素を含み,有機物をマトリックスとする新たな標準試料を開発した.開発したfsLA-ICP-MS法用標準試料の詳細と,これを用いた微量分析の事例について報告する.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.72.463