経肛門的に仙骨・髄腔内に達した直腸杙創の一例

86歳女性. 肛門直腸異物に対する加療目的に当院へ転送となった. 診察時, 肛門から園芸用パイプが露見され, CTでは異物が直腸前面から腹腔内を経て仙骨を貫通し髄腔内に達していた. 緊急で開腹術を行い, 異物を経肛門的に引き抜き, 明らかな髄液漏出や仙骨静脈叢からの出血は認めなかった. 直腸・腸間膜の修復, 髄腔との交通部にドレーンを留置後に, 便流遮断のため人工肛門を造設した. 術後は髄膜炎を考慮した抗菌薬を投与し, 外科的処置が必要となる合併症を認めず第28病日に転院となった. 仙骨・髄腔内に達する直腸杙創では徹底した損傷部の洗浄・ドレナージ, 便流遮断と早期からの広域抗菌薬投与は感染合併...

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Published in日本外傷学会雑誌 p. 39.4_02
Main Authors 島崎 淳也, 織田 順, 横野 良典, 片山 祐介, 西山 和孝, 小倉 裕司, 荻野 優, 蛯原 健, 舘野 丈太郎, 竹川 良介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外傷学会 2025
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ISSN1340-6264
2188-0190
DOI10.11382/jjast.39.4_02

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Summary:86歳女性. 肛門直腸異物に対する加療目的に当院へ転送となった. 診察時, 肛門から園芸用パイプが露見され, CTでは異物が直腸前面から腹腔内を経て仙骨を貫通し髄腔内に達していた. 緊急で開腹術を行い, 異物を経肛門的に引き抜き, 明らかな髄液漏出や仙骨静脈叢からの出血は認めなかった. 直腸・腸間膜の修復, 髄腔との交通部にドレーンを留置後に, 便流遮断のため人工肛門を造設した. 術後は髄膜炎を考慮した抗菌薬を投与し, 外科的処置が必要となる合併症を認めず第28病日に転院となった. 仙骨・髄腔内に達する直腸杙創では徹底した損傷部の洗浄・ドレナージ, 便流遮断と早期からの広域抗菌薬投与は感染合併症を予防する一助となると考えられた.
ISSN:1340-6264
2188-0190
DOI:10.11382/jjast.39.4_02