里帰りした「かぐや」の見たもの (解説)

月の起源と進化の解明,そして将来の月利用のために,2007年9月に打ち上げられた月周回衛星「かぐや」は,アポロ以来の大規模な月探査機である.「かぐや」は14種類の科学観測機器を搭載して月を周回し,月表層の元素・鉱物組成,地形,地下構造,磁気異常,重力場を全域にわたり観測した.観測機器の一つであるガンマ線分光計は高いエネルギー分解能で月全域の元素組成分布を調査した.天体表面からのガンマ線を衛星の軌道上から観測することで,表層を構成している物質の分布が求まり,その天体の生い立ちの歴史を紐解ける.「かぐや」によってなされた固体惑星研究について,ガンマ線観測を主として,月物質探査の成果と将来の月探査の...

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Published in日本物理学会誌 Vol. 67; no. 2; pp. 78 - 85
Main Authors 山下, 直之, 長谷部, 信行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本物理学会 05.02.2012
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ISSN0029-0181
2423-8872
DOI10.11316/butsuri.67.2_78

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Summary:月の起源と進化の解明,そして将来の月利用のために,2007年9月に打ち上げられた月周回衛星「かぐや」は,アポロ以来の大規模な月探査機である.「かぐや」は14種類の科学観測機器を搭載して月を周回し,月表層の元素・鉱物組成,地形,地下構造,磁気異常,重力場を全域にわたり観測した.観測機器の一つであるガンマ線分光計は高いエネルギー分解能で月全域の元素組成分布を調査した.天体表面からのガンマ線を衛星の軌道上から観測することで,表層を構成している物質の分布が求まり,その天体の生い立ちの歴史を紐解ける.「かぐや」によってなされた固体惑星研究について,ガンマ線観測を主として,月物質探査の成果と将来の月探査の方向について解説する.
ISSN:0029-0181
2423-8872
DOI:10.11316/butsuri.67.2_78