心エコー法の実際 5. 大動脈弁狭窄

大動脈弁狭窄症(aortic stenosis:AS)はリウマチ性ないし動脈硬化による二次性変化としておこり, 最近では高齢者の動脈硬化性大動脈弁狭窄症が増加している. リウマチ性では弁尖の変化が主体のため, 大動脈弁の弁尖の癒合, 弁口面積の狭小化が比較的良好に観察されるが, 動脈硬化性では弁腹の変化が主体で, 弁の石灰化も高度なため, エコー輝度の増強が著しく, 断層心エコー図による弁口面積の評価は僧帽弁狭窄症に比し困難となることが多く, 不可能な症例も稀ではない 1)(Fig.1). Mモード図では通常大動脈壁近くまで開放するbox状の大動脈弁の動きが小さくなり, 弁エコーの増強もみられ...

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Published in医療 Vol. 45; no. 5; pp. 513 - 516
Main Author 岩瀬, 正嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1991
国立医療学会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.45.513

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Summary:大動脈弁狭窄症(aortic stenosis:AS)はリウマチ性ないし動脈硬化による二次性変化としておこり, 最近では高齢者の動脈硬化性大動脈弁狭窄症が増加している. リウマチ性では弁尖の変化が主体のため, 大動脈弁の弁尖の癒合, 弁口面積の狭小化が比較的良好に観察されるが, 動脈硬化性では弁腹の変化が主体で, 弁の石灰化も高度なため, エコー輝度の増強が著しく, 断層心エコー図による弁口面積の評価は僧帽弁狭窄症に比し困難となることが多く, 不可能な症例も稀ではない 1)(Fig.1). Mモード図では通常大動脈壁近くまで開放するbox状の大動脈弁の動きが小さくなり, 弁エコーの増強もみられ, 左室は圧負荷による求心性肥大を示すが, これらの所見は定性的であり, 狭窄の重症度とは必ずしも比例しない. 重症例ではMモード図でも大動脈弁は多層エコーを呈し, 開放運動を明瞭に記録することは困難になる.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.45.513