同一区域内に腎細胞癌の肺転移と過誤腫を併発した1例

症例は63歳男性.2001年に左腎細胞癌で腎摘除術を施行.術後6年目に肺転移を疑わせる円形で辺縁平滑・境界明瞭な3個の腫瘤が右下葉の同一区域内に出現した.年間1 mm以下と非常に緩徐ではあったが,増大傾向が続いたため,2012年1月に胸腔鏡下右肺部分切除術を行った.病理組織診断の結果,2ヵ所は腎細胞癌肺転移,1ヵ所は肺過誤腫と診断された.経過観察中のtumor doubling timeは肺転移巣が48.1ヵ月と42.0ヵ月,肺過誤腫は41.3ヵ月と計算された.slow growing typeの腎細胞癌肺転移巣では,増大速度が肺良性腫瘍と差がないほど緩徐な場合もあることが確認された....

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 27; no. 1; pp. 79 - 83
Main Authors 岡村, 吉隆, 太田, 文典, 吉増, 達也, 田中, 由美, 尾浦, 正二, 平井, 慶充
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.01.2013
Subjects
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.27.79

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Summary:症例は63歳男性.2001年に左腎細胞癌で腎摘除術を施行.術後6年目に肺転移を疑わせる円形で辺縁平滑・境界明瞭な3個の腫瘤が右下葉の同一区域内に出現した.年間1 mm以下と非常に緩徐ではあったが,増大傾向が続いたため,2012年1月に胸腔鏡下右肺部分切除術を行った.病理組織診断の結果,2ヵ所は腎細胞癌肺転移,1ヵ所は肺過誤腫と診断された.経過観察中のtumor doubling timeは肺転移巣が48.1ヵ月と42.0ヵ月,肺過誤腫は41.3ヵ月と計算された.slow growing typeの腎細胞癌肺転移巣では,増大速度が肺良性腫瘍と差がないほど緩徐な場合もあることが確認された.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.27.79