心エコー法の実際 7. 肥大型心筋症
肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy:HCM)は左室心筋の異常な肥大と内腔の狭小化をきたす疾患である. 心筋の肥大は, 通常, 心室中隔に認められることが多く, 心室中隔と左室後壁の厚さの比が1.3以上のものは非対称性中隔肥大(asymmetric septal hypertrophy:ASH)と呼ばれる(Fig. 1,3). 本症では血行動態上, 左室流出路に収縮期圧較差を生ずる閉塞性肥大型心筋症(hypertrophic obstructive cardiomyopathy:HOCM)と, 圧較差を生じない非閉塞性肥大型心筋症(hypertrophic no...
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Published in | 医療 Vol. 45; no. 7; pp. 710 - 713 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国立医療学会
1991
国立医療学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0021-1699 1884-8729 |
DOI | 10.11261/iryo1946.45.710 |
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Summary: | 肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy:HCM)は左室心筋の異常な肥大と内腔の狭小化をきたす疾患である. 心筋の肥大は, 通常, 心室中隔に認められることが多く, 心室中隔と左室後壁の厚さの比が1.3以上のものは非対称性中隔肥大(asymmetric septal hypertrophy:ASH)と呼ばれる(Fig. 1,3). 本症では血行動態上, 左室流出路に収縮期圧較差を生ずる閉塞性肥大型心筋症(hypertrophic obstructive cardiomyopathy:HOCM)と, 圧較差を生じない非閉塞性肥大型心筋症(hypertrophic nonobstructive cardiomyopathy:HCM)に分類されている. HOCMでは僧帽弁ないし腱索の収縮期前方運動(systolic anterior movement:SAM)と大動脈弁の収縮後期半閉鎖がみられ, SAMの中隔との接触時間(septal contact)は圧較差の重症度と比例すると言われている(Fig. 1). ドップラー法は左室駆出血流速波形の変化から左室内圧較差の存在とその部位, そして重症度を定量的に評価することが可能である1). |
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ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.45.710 |