茨城県におけるMRSA感染症に対する併用療法についての検
茨城県内の15施設において, 1991年1月~1993年4月の問に発生したメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) 感染症54症例を対象として, MRSAの薬剤感受性およびFosfomycin (FOM) やArbekacin (ABK) とβ-ラクタム剤の併用療法の臨床的効果を検討した。FOMの投与1時間後にCefmetazole (CMZ)(Group C) あるいはFlomoxef (FMOX)(Group F) を投与する時間差併用療法を行うとともに, この治療法や他の治療に無効な例にABKとCeftazidime (CAZ) あるいはPiperacillin (PIPC) を同時投...
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Published in | The Japanese Journal of Antibiotics Vol. 47; no. 6; pp. 781 - 789 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
1994
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0368-2781 2186-5477 |
DOI | 10.11553/antibiotics1968b.47.781 |
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Summary: | 茨城県内の15施設において, 1991年1月~1993年4月の問に発生したメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) 感染症54症例を対象として, MRSAの薬剤感受性およびFosfomycin (FOM) やArbekacin (ABK) とβ-ラクタム剤の併用療法の臨床的効果を検討した。FOMの投与1時間後にCefmetazole (CMZ)(Group C) あるいはFlomoxef (FMOX)(Group F) を投与する時間差併用療法を行うとともに, この治療法や他の治療に無効な例にABKとCeftazidime (CAZ) あるいはPiperacillin (PIPC) を同時投与した (Group A)。対象は81.5%が呼吸器感染症であり, 平均年令は67.2歳で, 94.4%が基礎疾患を有し, 重症20例, 中等症30例であつた。MRSA単独分離例は23例, 他菌種との複数菌分離例は31例で, 緑膿菌が最も高頻度に分離された。MRSA 25株のCMZ, FMOX単独でのMIC50。はそれぞれ50μg/ml, 50μg/mlで, FOMとの組み合わせでともにMICが1~2管改善した。ABKのMIC5。は1.56μg/ml, MIC80。は6.25 μg/mlであつた。Group C, Fは22例, 25例で, それらの有効率は63.6%, 64%, 細菌学的効果は42.9%, 565%で両治療問に差はなく, 全体の有効率は63.8%, 細菌学的効果は50%であつた。ABK+CAZ, ABK+PIPCの治療例はそれぞれ9例, 6例で, 有効率はともに66-7%, 細菌学的効果は44.4%, 50%で, 両者に差はなかつた。自他覚的な副作用はなく, 検査値異常は Group C, Fに軽度の肝障害が各1例みられたがGroup Aには認められなかつた。FOMとCephem系薬剤の時間差併用療法はMRSA感染症にある程度有効と考えられるが, これらの薬剤に対する耐性化が進んでおり, 中等症以上で多剤耐性菌の場合にはABKとβ-ラクタム剤の同時併用療法を使用すべきと思われる。 |
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ISSN: | 0368-2781 2186-5477 |
DOI: | 10.11553/antibiotics1968b.47.781 |