IV.直腸肛門疾患における排便造影検査(defecography)の実際

便排出障害型便秘症は,直腸内の便をスムースに排出できないため排便困難や便失禁を呈する.食事指導,生活習慣指導,投薬などの一般的な便秘治療が奏効しないことも多く,バルーン排出訓練やバイオフィードバック療法,時に外科的治療を必要とすることもある.便排出障害の原因には,直腸瘤,直腸重責,直腸脱などの器質的異常と,骨盤底筋協調運動障害を代表とする機能的異常がある.排便造影検査(Defecography)は,バリウムを含有した擬似便の排出をX線透視化に撮影することでブラックボックスである直腸肛門の形態的・動的変化を捉えられるため,これらの診断に有用である.また,患者自身が検査画映像を見て視覚的に病態を把...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 77; no. 10; pp. 569 - 576
Main Authors 山下, 真幸, 川上, 和彦, 相川, 佳子, 中井, 勝彦, 相澤, 万里枝, 新井, 賢一郎, 野中, 雅彦, 松田, 聡, 尾田, 典隆, 松永, 篤志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本大腸肛門病学会 2024
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.77.569

Cover

More Information
Summary:便排出障害型便秘症は,直腸内の便をスムースに排出できないため排便困難や便失禁を呈する.食事指導,生活習慣指導,投薬などの一般的な便秘治療が奏効しないことも多く,バルーン排出訓練やバイオフィードバック療法,時に外科的治療を必要とすることもある.便排出障害の原因には,直腸瘤,直腸重責,直腸脱などの器質的異常と,骨盤底筋協調運動障害を代表とする機能的異常がある.排便造影検査(Defecography)は,バリウムを含有した擬似便の排出をX線透視化に撮影することでブラックボックスである直腸肛門の形態的・動的変化を捉えられるため,これらの診断に有用である.また,患者自身が検査画映像を見て視覚的に病態を把握しやすいこと,画像所見を共有することで患者-医療者間の連携が良好となることで,効果的な治療にもつながる.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.77.569