肝移植後繰り返す拒絶反応に対しresucue splenectomyが奏効した1例

【緒言】DSAが肝移植後拒絶反応に関与するか臨床的意義は未だ解明されていない。今回、肝移植後に繰り返す拒絶反応の治療に難渋した中resucue splenectomyが奏功した抗体関連拒絶が示唆される1例を経験したので報告する。【症例】40歳代女性、PBCによる非代償性肝硬変(MELD 22点)に対し妹をdonorとする生体肝移植を施行。Preformed DSA陽性例(class I、nMFI 8300)のため脱感作療法として移植前血漿交換とRituximabを投与、1W前からFK+MMFを導入。(血液型適合、右葉graft、GW/RBW 1.35%、脾摘)。移植後はACRエピソードを認...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s266_1
Main Authors 安井, 和也, 西山, 岳芳, 高木, 弘誠, 永井, 康雄, 藤原, 俊義, 藤, 智和, 金平, 典之, 山田, 元彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
Online AccessGet full text
ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s266_1

Cover

More Information
Summary:【緒言】DSAが肝移植後拒絶反応に関与するか臨床的意義は未だ解明されていない。今回、肝移植後に繰り返す拒絶反応の治療に難渋した中resucue splenectomyが奏功した抗体関連拒絶が示唆される1例を経験したので報告する。【症例】40歳代女性、PBCによる非代償性肝硬変(MELD 22点)に対し妹をdonorとする生体肝移植を施行。Preformed DSA陽性例(class I、nMFI 8300)のため脱感作療法として移植前血漿交換とRituximabを投与、1W前からFK+MMFを導入。(血液型適合、右葉graft、GW/RBW 1.35%、脾摘)。移植後はACRエピソードを認めたがステロイドパルスにて速やかに軽快。術後40病日で退院。Preformed DSAは 2145→1993→127と陰性化。移植後5.9.12ヶ月に拒絶エピソードを認めたがステロイドパルスへの反応は良好であったものの徐々に肝酵素/T.Bil上昇が遷延、更にde novo DSA陽性化(class II、nMFI 4217)、肝生検ではF2-3の線維化あり、C4dは陰性もP2B2V0程度の炎症細胞、形質細胞浸潤が目立つこと、de novo DSAが17266と著明に増加していたことから抗体関連拒絶が強く疑われた。移植20ヶ月後に開腹脾摘方針とした。脾摘直前肝機能はT.Bil10.9/D.Bil7.5、AST211/128、PT72%、ALB2.6。脾摘後約半年が経過、T.Bilは正常範囲に改善した。De novo DSA nMFIは17266→6684→1460と減少、ERCでは肝内胆管の枯れ枝状硬化性変化像も改善していた。【結語】肝移植後繰り返す拒絶反応に対しresucue splenectomyが奏効した1例を経験した。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s266_1