トロント大学における心停止後ドナーからの肺移植 - Donation after circulatory death, Medical assistance in dying, Non-Perfused Organ Donors

本邦では心停止後ドナーからの肺移植はいまだ報告がないが,世界的には積極的に行われている.トロント大学胸部外科ではInternational Society for Heart and Lung TransplantationのRegistry analysisで最も多い症例数の登録を行っており,日常的にDCDドナーグラフトによる肺移植が実施されている.トロント総合病院における2022年のデータでは,donor procurementは246例,うちNPOD(Non-Perfused Organ Donors)が7例(2.8%),MAID(Medical assistance in dying)...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s158_1
Main Authors 小畑, 智裕, 赤尾, 恵子, 木谷, 聡一郎, 竹井, 大貴, 土肥, 良一郎, 佐々木, 俊輔, 松本, 桂太郎, 谷口, 大輔, 安福, 和弘, 宮崎, 拓郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s158_1

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Summary:本邦では心停止後ドナーからの肺移植はいまだ報告がないが,世界的には積極的に行われている.トロント大学胸部外科ではInternational Society for Heart and Lung TransplantationのRegistry analysisで最も多い症例数の登録を行っており,日常的にDCDドナーグラフトによる肺移植が実施されている.トロント総合病院における2022年のデータでは,donor procurementは246例,うちNPOD(Non-Perfused Organ Donors)が7例(2.8%),MAID(Medical assistance in dying)が22例(8.9%),DCD(Donation after circulatory death)ベースのdonor数は総計115例(46.7%)と,斡旋に至ったドナー症例の約半数はDCDであった.このうち,EVLP(Ex vivo Lung Perfusion)を必要としたのは35例(30.4%)で,さらにこの中の20例はグラフトとしてacceptされた.EVLPを行わずにdecision makingがなされたのが58例(50.4%)で,うち48例が肺移植へといたった.WLS(withdrawal of Life Support)にも関わらず,心停止に至らず肺摘出に至らなかった症例が22例(19.1%)であった.NPOD症例7例中,肺移植に至ったのは2例にとどまった.MAIDの症例で肺移植に至らなかったのは2例(9%)のみであった.DCDドナーは脳死下肺提供ドナーと遜色のない長期成績が得られることも報告されており,実施可能な術式として本邦でもシステムの整備が待たれる.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s158_1