アルコール多飲者が多い沖縄県における生体肝移植
【背景】沖縄県はアルコール性肝疾患が最も多い地域とされ、その要因として患者本人の問題のみならず、飲酒に関する社会的な背景も存在するものと考える。【目的および方法】2020年3月から2024年3月までに当院で施行したアルコール性肝硬変に対する生体肝移植症例の後方視的検討ならびに当院で診療中の肝移植後患者の飲酒状況、沖縄県における肝硬変の成因別実態について報告する。【結果】2018年1月から2021年12月までに当院および関連施設にて初めて肝硬変と診断された患者は505例(男性334例 女性171例 平均年齢61.7歳)で成因はアルコール性が60%、NASH:14.1%と続き、ウイルス性の占める割...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s275_2 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s275_2 |
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Summary: | 【背景】沖縄県はアルコール性肝疾患が最も多い地域とされ、その要因として患者本人の問題のみならず、飲酒に関する社会的な背景も存在するものと考える。【目的および方法】2020年3月から2024年3月までに当院で施行したアルコール性肝硬変に対する生体肝移植症例の後方視的検討ならびに当院で診療中の肝移植後患者の飲酒状況、沖縄県における肝硬変の成因別実態について報告する。【結果】2018年1月から2021年12月までに当院および関連施設にて初めて肝硬変と診断された患者は505例(男性334例 女性171例 平均年齢61.7歳)で成因はアルコール性が60%、NASH:14.1%と続き、ウイルス性の占める割合は10%以下であった。当院で2020年3月から4年間で施行した肝移植数は28例(小児6例)で原疾患はアルコール性が9例と成人移植例の41%であった。原因不明の突然と高度サルコペニア症例の2例を失った7。生存例7例は現在のところ再飲酒の兆候は見られていない。2022年6-12月までに行った当院診療中の肝移植患者への飲酒状況アンケート調査では有効回答数47(回収率58%)で、飲酒経験率は46.8%であった。週1回以上の飲酒者や問題飲酒が疑われる者は19.1%で内的要因が多い傾向であった。【結語】沖縄県ではアルコール性肝硬変患者が多く、移植後再飲酒率を下げるには肥満や大酒家が多い沖縄県の特徴を改善させる地域社会全体への啓発活動が重要と考える。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s275_2 |