肝移植後長期生存例における悪性腫瘍発生についての検討
【背景】悪性腫瘍発生は臓器移植において晩期合併症の一つであり、複数のリスク因子が報告されている。本研究では肝移植後の悪性腫瘍発生について検討した。【方法】対象は1997年4月から2014年3月に当院で肝移植を施行し、1年以上生存した成人患者101例。悪性腫瘍の発生とその予後を検討した。【結果】移植時の年齢(中央値、範囲)は50歳(21-65歳)、女性48例(47.6%)であった。28例(27.7%)に33病変の悪性腫瘍を認め、診断時の年齢は62歳(29-72歳)、女性が12例(42.8%)であった。がん腫は移植後リンパ球増殖疾患7例、肝細胞癌5例、胃癌・大腸癌・肺癌がそれぞれ3例ずつ、その他は...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s202_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s202_1 |
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Summary: | 【背景】悪性腫瘍発生は臓器移植において晩期合併症の一つであり、複数のリスク因子が報告されている。本研究では肝移植後の悪性腫瘍発生について検討した。【方法】対象は1997年4月から2014年3月に当院で肝移植を施行し、1年以上生存した成人患者101例。悪性腫瘍の発生とその予後を検討した。【結果】移植時の年齢(中央値、範囲)は50歳(21-65歳)、女性48例(47.6%)であった。28例(27.7%)に33病変の悪性腫瘍を認め、診断時の年齢は62歳(29-72歳)、女性が12例(42.8%)であった。がん腫は移植後リンパ球増殖疾患7例、肝細胞癌5例、胃癌・大腸癌・肺癌がそれぞれ3例ずつ、その他は7がん腫12例、と多様であった。背景因子の検討で、移植時の年齢50歳以上が悪性腫瘍発生のリスク因子であった(HR2.495,P=0.026)。腫瘍発生後の予後は、1/5/10年生存率84.5/61.9/41.3%であった。根治的治療が可能であった21例(75.0%)の1/5/10年生存率は100/87.5/70.0%、根治的治療不可能であった7例の1/5/10年生存率は57.1/0.0/0.0%(P=0.001)と予後不良であった。【考察】肝移植後は多様な悪性腫瘍発生を念頭においた検査をする必要がある。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s202_1 |