生体肝移植再開へ向けた取り組み -院内体制構築と血管吻合トレーニング教育

【はじめに】1989年当院で本邦初の生体肝移植が施行された。その後、本邦における生体肝移植は増加の一途をたどり、現在までに10000例以上の生体肝移植が行われている。しかし当院では様々な理由から2例目の肝移植が施行されることはなかった。今回、肝移植経験のある筆者が赴任し、生体肝移植再開へ向けた取り組みと血管吻合トレーニングによる若手教育を行っているので紹介する。【院内体制整備】2023年麻酔科、ICU、医療安全部と協議を行い、関係各部署をリストアップ、病院内でワーキンググループを立ち上げた。2024年肝移植に関わる診療科、部署の責任者を対象として肝移植の概要を説明した。現在、迅速な輸血体制、検...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s273_2
Main Authors 梶, 俊介, 岸, 隆, 高尾, 聡, 石飛, 一成, 谷浦, 隆仁, 松原, 毅, 山本, 徹, 高井, 清江, 井上, 圭亮, 日高, 匡章, 林, 彦多, 荒川, 将司, 中村, 光佑
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s273_2

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Summary:【はじめに】1989年当院で本邦初の生体肝移植が施行された。その後、本邦における生体肝移植は増加の一途をたどり、現在までに10000例以上の生体肝移植が行われている。しかし当院では様々な理由から2例目の肝移植が施行されることはなかった。今回、肝移植経験のある筆者が赴任し、生体肝移植再開へ向けた取り組みと血管吻合トレーニングによる若手教育を行っているので紹介する。【院内体制整備】2023年麻酔科、ICU、医療安全部と協議を行い、関係各部署をリストアップ、病院内でワーキンググループを立ち上げた。2024年肝移植に関わる診療科、部署の責任者を対象として肝移植の概要を説明した。現在、迅速な輸血体制、検査(免疫抑制剤血中濃度)、病理(緊急肝生検)などの体制整備を進めている。同時に肝胆膵外科医、ICU医師、他大学の肝移植見学を終えており、徐々に肝移植再開へ向けて準備を進めている。【血管吻合トレーニング】肝移植は良好な血管吻合(静脈、門脈、動脈)が術後成績につながるため、中堅若手外科医を中心に下大静脈、門脈吻合のトレーニングを導入した。2023年度2回行い、若手肝胆膵外科医が、門脈合併膵頭十二指腸切除術において無事門脈吻合を完遂できた。【おわりに】今後対象症例に対し、円滑、安全に生体肝移植が施行できるよう準備を進めていく。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s273_2