エホバの証人 (JW) に対する生体間腎移植 (LDKT) の検討

背景JWは輸血を拒否することで知られている宗教団体であり日本には約20万人の会衆がいる。JWへの手術の安全性については議論があるがLDKTに関する研究は限られており当院での経験について報告する。方法本研究は当院でLDKTを受けたJWの症例を検討した単施設後ろ向き観察研究である。レシピエントには術前目標ヘモグロビンレベル12g/dLを達成するために、エリスロポエチン製剤(ESA)を投与した。その上でヘモグロビン(Hb)、腎機能、および術後の経過を調査した。結果当施設では9年間でJW患者8名がレシピエントとしてLDKTを受けた。患者と移植片の生存率は約100%であった。移植時のレシピエントの年齢は...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s394_1
Main Authors 山野, 水紀, 御供, 彩夏, 守矢, 英和, 日高, 寿美, 小林, 修三, 村岡, 賢, 田邊, 一成, 持田, 泰寛, 大久保, 恵太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s394_1

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Summary:背景JWは輸血を拒否することで知られている宗教団体であり日本には約20万人の会衆がいる。JWへの手術の安全性については議論があるがLDKTに関する研究は限られており当院での経験について報告する。方法本研究は当院でLDKTを受けたJWの症例を検討した単施設後ろ向き観察研究である。レシピエントには術前目標ヘモグロビンレベル12g/dLを達成するために、エリスロポエチン製剤(ESA)を投与した。その上でヘモグロビン(Hb)、腎機能、および術後の経過を調査した。結果当施設では9年間でJW患者8名がレシピエントとしてLDKTを受けた。患者と移植片の生存率は約100%であった。移植時のレシピエントの年齢は49.6 [40-70] 歳、ドナーの年齢は60.0 [35-74] 歳で、総手術時間は286.6 [200-371] 分、総出血量は217.5 [70-455] mLであった。術後6ヶ月のレシピエントのHbレベルは12.2 [12-14.9] mg/dL、クレアチニンレベルは1.51 [1.13-2.8] mg/dLであった。このうち2例は血液型不適合移植で術前にアルブミン製剤による血漿交換を行った。いずれの患者も移植後6ヶ月で合併症なく良好な経過を示した。結論我々はJWに対してLDKTを施行した。JWにおいても輸血で安全に腎移植を行うことが可能で、で良好な術後成績を得ることができた
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s394_1