直腸固定術で治癒した直腸重積を伴うMucosal Prolapse Syndrome (MPS)の1例
直腸粘膜脱症候群(Mucosal Prolapse Syndrome;MPS)は過度な怒責など異常な排便習慣を背景に発症し,病理組織学的に粘膜固有層の線維筋症を特徴とする直腸の隆起性または潰瘍性病変である.直腸重積がその一因であるともいわれており,その場合診断には排便造影検査(defecography)が有用である.今回われわれはdefecographyで診断し,直腸固定術で治癒可能であった1例を経験したので報告する.症例は28歳男性.下血と便意頻回,粘液付着を訴え来院,下部消化管内視鏡検査で多発ポリープを指摘された.生検ではMPSの診断であった.Defecographyでは直腸重積と重積最下...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 70; no. 3; pp. 172 - 176 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2017
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Subjects | |
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ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.70.172 |
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Summary: | 直腸粘膜脱症候群(Mucosal Prolapse Syndrome;MPS)は過度な怒責など異常な排便習慣を背景に発症し,病理組織学的に粘膜固有層の線維筋症を特徴とする直腸の隆起性または潰瘍性病変である.直腸重積がその一因であるともいわれており,その場合診断には排便造影検査(defecography)が有用である.今回われわれはdefecographyで診断し,直腸固定術で治癒可能であった1例を経験したので報告する.症例は28歳男性.下血と便意頻回,粘液付着を訴え来院,下部消化管内視鏡検査で多発ポリープを指摘された.生検ではMPSの診断であった.Defecographyでは直腸重積と重積最下端部に隆起性病変を認めたことから,直腸重積を成因とするMPSと診断し腹腔鏡下直腸固定術を行った.術後1年経過し臨床症状の改善がみられ,下部消化管内視鏡検査でも病変は消失していた. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.70.172 |