炎症沈静化後の化膿性脊椎炎に対して椎体間チタンケージ使用のLIF+PPSの適用は安全か

はじめに:化膿性脊椎炎に対して椎体間チタンケージを用いたLIF+PPS固定の治療成績を調査した.対象と方法:対象は化膿性脊椎炎に対し,その活動性を沈静化させたのちに罹患椎間に上記低侵襲手術を行った8例.結果:罹患高位はT11-12,L2-3,L3-4の単椎間が各1例,L3-4-5の2椎間が2例,L4-5単椎間が3例で,8例中7例が基礎疾患を合併した易感染宿主であった.起因菌は3例で同定できた.初期治療は保存療法のみが6例,非罹患椎のPPSとrodによる固定の追加が2例であった.LIF+PPS直前の白血球数は全例で基準値以下となり,CRP値は平均1.35 mg/dlであった.5例において観察期間...

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Published inJournal of Spine Research Vol. 16; no. 8; pp. 1094 - 1101
Main Authors 小野 直登, 足立 崇, 谷口 愼一郎, 齋藤 貴徳, 谷 陽一, 朴 正旭, 石原 昌幸, 安藤 宗治, 中 信裕, 川島 康輝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会 20.08.2025
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ISSN1884-7137
2435-1563
DOI10.34371/jspineres.2025-3053

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Summary:はじめに:化膿性脊椎炎に対して椎体間チタンケージを用いたLIF+PPS固定の治療成績を調査した.対象と方法:対象は化膿性脊椎炎に対し,その活動性を沈静化させたのちに罹患椎間に上記低侵襲手術を行った8例.結果:罹患高位はT11-12,L2-3,L3-4の単椎間が各1例,L3-4-5の2椎間が2例,L4-5単椎間が3例で,8例中7例が基礎疾患を合併した易感染宿主であった.起因菌は3例で同定できた.初期治療は保存療法のみが6例,非罹患椎のPPSとrodによる固定の追加が2例であった.LIF+PPS直前の白血球数は全例で基準値以下となり,CRP値は平均1.35 mg/dlであった.5例において観察期間内に罹患椎間の骨癒合が確認され,手術による感染再燃はなかった.結語:感染巣に異物となるケージを設置する手術は躊躇される傾向がある.しかし,初期治療により感染が制御され,その活動性が沈静化した状態であれば,上記の低侵襲手術は感染椎間板の切除と強固な内固定により感染の治癒過程をむしろ促進する可能性がある.しかし経過観察期間が短いため,今後の長期的な経過観察により本法は有用な治療選択肢となることが期待される.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2025-3053