酢酸菌由来の膜結合型脱水素酵素における構造生物電気化学

酢酸菌由来の脱水素酵素群の中には,電極と直接的に電子移動し,酵素反応と電極反応を共役できる酵素が多く存在する.本共役系は直接電子移動(Direct Electron Transfer; DET)型反応と呼称され,酵素機能の電気化学的基礎評価手法としてだけでなく,第3世代型バイオセンサや次世代型バイオ燃料電池,バイオリアクタへの応用としても期待されている.酢酸菌由来のフルクトース脱水素酵素(FDH)やアルコール脱水素酵素(ADH),アルデヒド脱水素酵素(ALDH)は,卓越したDET型活性を持つ膜結合型タンパク質であり,生物電気化学的な研究が推進されてきた.一方,その立体構造は長年の間不明であった...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in分析化学 Vol. 74; no. 7.8; pp. 351 - 361
Main Authors 足立 大宜, 市川 小夏, 宋和 慶盛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.07.2025
Online AccessGet full text
ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.74.351

Cover

More Information
Summary:酢酸菌由来の脱水素酵素群の中には,電極と直接的に電子移動し,酵素反応と電極反応を共役できる酵素が多く存在する.本共役系は直接電子移動(Direct Electron Transfer; DET)型反応と呼称され,酵素機能の電気化学的基礎評価手法としてだけでなく,第3世代型バイオセンサや次世代型バイオ燃料電池,バイオリアクタへの応用としても期待されている.酢酸菌由来のフルクトース脱水素酵素(FDH)やアルコール脱水素酵素(ADH),アルデヒド脱水素酵素(ALDH)は,卓越したDET型活性を持つ膜結合型タンパク質であり,生物電気化学的な研究が推進されてきた.一方,その立体構造は長年の間不明であったが,クライオ電子顕微鏡観察技術の発展により,これら酵素の立体構造が明らかになった.解明された立体構造に基づき,構造生物学の視点を融合した取り組みも盛んに行われている.ここでは,FDHをはじめとする酢酸菌由来脱水素酵素群の研究成果を概説し,今後の展望なども紹介する.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.74.351