重症LVAD感染に対しマージナルドナーからの心移植を行い、長期間循環補助管理を要した症例
【背景】本邦における心臓移植では、長期待機期間中の植込型左室補助人工心臓(LVAD)合併症により、マージナルドナーからの移植を選択せざるをない場合があり、移植後治療に難渋する症例については、詳細な議論が必要である。【症例】41歳時に拡張型心筋症で心臓移植登録、LVAD装着し心機能改善を認め半年で離脱。その後徐々に心機能悪化し、48歳でLVAD再装着。術後LVAD感染を来たし49歳時にLVAD交換するも、ドライブライン感染から再度LVAD感染となり、局所陰圧閉鎖療法を継続。51歳時(status 1での待機期間1205日間)に、マージナルドナーからの心臓移植。ドナーは60歳代、男性(公開されてい...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s254_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s254_1 |
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Summary: | 【背景】本邦における心臓移植では、長期待機期間中の植込型左室補助人工心臓(LVAD)合併症により、マージナルドナーからの移植を選択せざるをない場合があり、移植後治療に難渋する症例については、詳細な議論が必要である。【症例】41歳時に拡張型心筋症で心臓移植登録、LVAD装着し心機能改善を認め半年で離脱。その後徐々に心機能悪化し、48歳でLVAD再装着。術後LVAD感染を来たし49歳時にLVAD交換するも、ドライブライン感染から再度LVAD感染となり、局所陰圧閉鎖療法を継続。51歳時(status 1での待機期間1205日間)に、マージナルドナーからの心臓移植。ドナーは60歳代、男性(公開されている情報のみ提示)、心虚血時間は233分。移植後心不全ありVA-ECMO, IABPを装着。移植後6日目に縦隔炎を併発し胸骨デブリードマン、局所陰圧閉鎖療法を継続。頻脈性心房細動に対し移植後37日目にAV node焼灼術、IABPを離脱。移植後48日目に鎖骨下動静脈送脱血のVA-ECMOに変更し継続するも、感染症のコントロール困難のため移植後75日目に死亡となった。【結語】重症LVAD感染に対しマージナルドナーからの心臓移植を行うも、移植後心不全に対し長期間循環補助が必要となった症例を経験した。様々な循環補助、集学的治療を行ったものの救命困難な症例で、マージナルドナーの選択も慎重にすべきと考えられた。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s254_1 |