生体腎移植後の拒絶反応予測におけるPan-Immune-Inflammation value(PIV)の有用性

【目的】本研究の目的は、複合的な炎症性バイオマーカーであるPan-Immune-Inflammation value(PIV)と腎移植後の治療を要する拒絶との関連を検討することである。【方法】2010年から2023年に当院で生体腎移植を受けた92名を対象とし、移植後7日目の臨床データと移植後90日以内に治療を要した拒絶の有無との関連を後方視的に検討した。PIVは(好中球数×血小板数×単球数)/リンパ球数で算出し、ROC曲線でカットオフ値(PIV=573)を決定したうえで、低PIV群と高PIV群の2群に分けて差を比較した。なお、PIVに関する拒絶の予測能を評価するため、移植後7日以内に拒絶を認め...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s330_1
Main Authors 柿田, 聖太, 松尾, 朋博, 森, 慎太郎, 光成, 健輔, 荒木, 杏平, 望月, 保志, 今村, 亮一, 大庭, 康司郎, 本多, 弘幸, 倉田, 博基
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s330_1

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Summary:【目的】本研究の目的は、複合的な炎症性バイオマーカーであるPan-Immune-Inflammation value(PIV)と腎移植後の治療を要する拒絶との関連を検討することである。【方法】2010年から2023年に当院で生体腎移植を受けた92名を対象とし、移植後7日目の臨床データと移植後90日以内に治療を要した拒絶の有無との関連を後方視的に検討した。PIVは(好中球数×血小板数×単球数)/リンパ球数で算出し、ROC曲線でカットオフ値(PIV=573)を決定したうえで、低PIV群と高PIV群の2群に分けて差を比較した。なお、PIVに関する拒絶の予測能を評価するため、移植後7日以内に拒絶を認めた6名は除外して検討した。【結果】解析対象患者は86名で、低PIV群44名(51.2%)、高PIV群42名(48.8%)であった。2群間で移植時年齢(44.8歳 vs 50.0歳、p=0.104)、女性比率(22.7% vs 28.6%、p=0.624)、血液型不適合率(38.6% vs 47.6%、p=0.514)に差はなかった。術後90日以内に治療を要する拒絶は11例(12.8%)に認め、低PIV群と比較して高PIV群で有意に多かった(2.3% vs 23.8%、p=0.003)。ロジスティック回帰分析において、高PIVは移植後90日以内の治療を要する拒絶の発生に関連を示し(オッズ比13.4、p=0.016)、移植時年齢と性別、血液型不適合率で補正した多変量解析においても同様の結果であった(オッズ比13.8、p=0.017)。【結論】腎移植後7日目のPIVは、移植後90日以内の治療を要する拒絶の予測に有用である。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s330_1