日本において、controlled DCDからの心臓移植は実現可能か?:海外の現状からみた日本における今後の課題

【目的】日本の心臓移植待機者数は約850人と多く、臓器提供増加が喫緊の課題である。われわれは令和4年よりAMED研究班にて海外の現状調査を行ってきた。今回、海外におけるDCD心臓移植の現状を報告し、今後国内においてDCDを実現するための課題を提起する。【方法】学会発表・論文による情報収集、海外の医療関係者への聞き取りから海外でのDCD心臓移植の現状を調査した。【結果】米国においてDCD心臓移植1年後の成績が報告され、生存率(99%)は脳死ドナー(97%)と比べて差はなかった。また2014年からDCD心臓移植を行なっているオーストラリアでの10年生存率は72%と脳死ドナーと差はなかった。全心臓移...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s317_2
Main Authors 廣田, 真規, 小野, 稔, 小谷, 恭弘, 黒子, 洋介, 笠原, 真悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s317_2

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Summary:【目的】日本の心臓移植待機者数は約850人と多く、臓器提供増加が喫緊の課題である。われわれは令和4年よりAMED研究班にて海外の現状調査を行ってきた。今回、海外におけるDCD心臓移植の現状を報告し、今後国内においてDCDを実現するための課題を提起する。【方法】学会発表・論文による情報収集、海外の医療関係者への聞き取りから海外でのDCD心臓移植の現状を調査した。【結果】米国においてDCD心臓移植1年後の成績が報告され、生存率(99%)は脳死ドナー(97%)と比べて差はなかった。また2014年からDCD心臓移植を行なっているオーストラリアでの10年生存率は72%と脳死ドナーと差はなかった。全心臓移植におけるDCDの比率は国によって様々であるが、米国では2019年は2.9%であったものが2023年には14.1%と増加しており、オランダでは63%をも占めていた。倫理・法律・社会的な問題点であるが、NRP(ECMOによる頭部以外の全身灌流)による蘇生方法は、わずかに脳を灌流してしまう可能性から、倫理的問題点があるとの議論になっている。しかしながら、DPP(体外での心臓灌流)は100,000USDと高額であり、ECMOを使用したNRPを使用する病院はまだまだ多い。【結論】DCD心臓移植の臨床成績は脳死ドナーと同等であり、欧米諸国ではDCDの使用が増加している。国内でDCD心臓移植を実現するためには、死の定義や実際の摘出方法など、ガイドラインやプロトコール作成の必要性があると考えられた。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s317_2