胆道閉鎖症自己肝/肝移植後患者の成人期Quality of Life(QOL)についての検討
【目的】近年胆道閉鎖症(BA)は自己肝生存率,肝移植後成績とも向上し,成人患者が増加するとともに,患者個人の生活の質(QOL)が以前より重要視されるようになってきた.本研究の目的はBA患者の成人期QOLについて,自己肝および肝移植後症例を比較検討することである.【方法】当科にて経過観察中の現在20代のBA患者を対象とした.自己肝および肝移植後症例について,SF-36日本語版での健康関連QOL調査を行い,各々の治療経過,学歴・就労状況などと併せて後方視的に比較検討した.【結果】対象は自己肝(NL群)19例,肝移植後(LT群)17例.年齢中央値はNL群25歳/LT群24歳,LT群の移植時年齢中央値...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s321_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s321_1 |
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Summary: | 【目的】近年胆道閉鎖症(BA)は自己肝生存率,肝移植後成績とも向上し,成人患者が増加するとともに,患者個人の生活の質(QOL)が以前より重要視されるようになってきた.本研究の目的はBA患者の成人期QOLについて,自己肝および肝移植後症例を比較検討することである.【方法】当科にて経過観察中の現在20代のBA患者を対象とした.自己肝および肝移植後症例について,SF-36日本語版での健康関連QOL調査を行い,各々の治療経過,学歴・就労状況などと併せて後方視的に比較検討した.【結果】対象は自己肝(NL群)19例,肝移植後(LT群)17例.年齢中央値はNL群25歳/LT群24歳,LT群の移植時年齢中央値は1歳であった.現在の肝機能(PT,T-Bilなど)に有意差なく,肝線維化の程度は両群ともF2が最多であった.合併症による入院回数はNL群計26回/LT群計20回だが,中央値いずれも0回で有意差を認めなかった.最終学歴が専門学校~大学卒なのはNL群13名/LT群5名(精神発達遅滞を除外)でNL群に多い傾向だが,フルタイム就労はNL群11名/LT群6名と有意差を認めなかった.入院回数が多いほどフルタイム就労が少ない傾向にあった.SF-36の下位尺度は両群とも全体的に20代日本平均より高いが,NL群の全体的健康観(GH)のみ平均より低かった(有意差). 肝機能とGHに有意相関はないが,入院回数が多いほどGHは有意に低かった. 【考察】BA成人患者のQOLは両群とも平均以上だが,入院回数の影響が推察された. |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s321_1 |