地熱発電所の環境アセスメントに適した硫化水素小型連続測定器の開発

地熱発電所の環境アセスメントでは,「大気汚染物質測定法指針」に定めるメチレンブルー法(MB法)によって,大気中の硫化水素濃度の測定が行われている.MB法では,現地でインピンジャー溶液に硫化水素を捕集し,実験室に持ち帰って吸光光度定量を行う.したがって,地熱発電所が立地する山間部における数日にわたる濃度推移の把握は難しい.そこで,ppmオーダーを対象としていた定電位電解式ガスセンサに周期的な校正機能を付加し,低濃度領域の測定が可能な測定装置を開発した.本装置により,長期ばく露による健康影響評価に必要な濃度領域の測定が可能になった.新しく開発した本測定装置3台について,測定の再現性,検出限界,検量...

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Published in分析化学 Vol. 74; no. 7.8; pp. 381 - 386
Main Authors 高木 幸二郎, 大平 慎一, 土屋 郷, 大井 悦史, 笹川 成章, 小野 浩己, 戸田 敬, 青木 一樹, 高橋 知広, 河本 行広, 岡田 真秀, 有本 雄美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.07.2025
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.74.381

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Summary:地熱発電所の環境アセスメントでは,「大気汚染物質測定法指針」に定めるメチレンブルー法(MB法)によって,大気中の硫化水素濃度の測定が行われている.MB法では,現地でインピンジャー溶液に硫化水素を捕集し,実験室に持ち帰って吸光光度定量を行う.したがって,地熱発電所が立地する山間部における数日にわたる濃度推移の把握は難しい.そこで,ppmオーダーを対象としていた定電位電解式ガスセンサに周期的な校正機能を付加し,低濃度領域の測定が可能な測定装置を開発した.本装置により,長期ばく露による健康影響評価に必要な濃度領域の測定が可能になった.新しく開発した本測定装置3台について,測定の再現性,検出限界,検量線の直線性,温度影響,湿度影響の基本性能の評価を行った.また,硫化水素が存在する立地環境で,MB法及び本測定装置による分析を同時に行い,それぞれの結果の相関を確認した.これらの結果から,本測定装置が地熱発電所の環境アセスメントに適するかどうかを評価した.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.74.381