小児期生体肝移植術を実施した10年以上の経過症例における治療成績と今後の課題

<はじめに>2004年から生体肝移植を開始し、レシピエントも思春期、成人期に達している。移植high volume centerではない施設での10年以上の長期成績を提示する。<結果>2004年から2014年までに行われた小児肝臓移植は34例で、うちフォローロスが5例(転居によるもの2例)、死亡例は3例であった。移植時レシピエント年齢は中央値2.5歳(0-17歳)、移植後観察年数は中央値15.1年(10.1-19.9年)、観察時年齢は中央値19.3歳(10.9-35.6歳)であった。免疫抑制剤はFK22例、CsA4例、MMF併用5例、ステロイド併用3例。術後遠隔期の合併症はlate onset...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s320_3
Main Authors 井上, 幹大, 土屋, 智寛, 渡邉, 俊介, 安井, 稔博, 村山, 未佳, 直江, 篤樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s320_3

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Summary:<はじめに>2004年から生体肝移植を開始し、レシピエントも思春期、成人期に達している。移植high volume centerではない施設での10年以上の長期成績を提示する。<結果>2004年から2014年までに行われた小児肝臓移植は34例で、うちフォローロスが5例(転居によるもの2例)、死亡例は3例であった。移植時レシピエント年齢は中央値2.5歳(0-17歳)、移植後観察年数は中央値15.1年(10.1-19.9年)、観察時年齢は中央値19.3歳(10.9-35.6歳)であった。免疫抑制剤はFK22例、CsA4例、MMF併用5例、ステロイド併用3例。術後遠隔期の合併症はlate onset急性拒絶は5例、原因のはっきりしない肝障害が2例、移植後糖尿病2例、門脈閉塞1例、腎機能障害3例であった。1例は腎移植を行っている。現在18歳以上となっている15例のうち大学・専門学校進学5例、就職8例、事業所通所2例であった。全例が当科でフォローアップされており、毎回親と共に受診するのは9例であった。18歳未満の11例中、高校進学7例、支援級3例、不登校1例であった。<結語>10年生存率、グラフト生存率は91%と良好であったが、問題が生じてくるのはまだまだこれからと思われた。患者および医療者の双方のためにも、トランジションを含めた今後のフォロー体制は数年のうちに構築すべき喫緊の課題である。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s320_3