切除不能胆道癌に対する生体肝移植
【背景】切除不能胆道癌の予後は極めて不良である。いっぽう、胆道癌に対する肝移植は症例選択によって良好な成績をもたらすことが欧米の施設から報告され、2018年より当院でも胆道癌に対する肝移植プログラムを開始した。【方法】1)残肝機能不良、2)広範な水平進展、3)局在診断困難な水平伸展(PSC)、4)血管再建不可能/困難な垂直進展、を理由とする切除不能胆道癌を対象とし、遠隔転移やリンパ節転移のないことを条件とした。また、術前治療として化学療法と放射線療法の施行を原則とし、移植実施の数週前にリンパ節のサンプリングを行ってリンパ節転移陽性例を除外している。【結果】移植を企図して術前放射線までを施行した...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s270_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s270_1 |
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Summary: | 【背景】切除不能胆道癌の予後は極めて不良である。いっぽう、胆道癌に対する肝移植は症例選択によって良好な成績をもたらすことが欧米の施設から報告され、2018年より当院でも胆道癌に対する肝移植プログラムを開始した。【方法】1)残肝機能不良、2)広範な水平進展、3)局在診断困難な水平伸展(PSC)、4)血管再建不可能/困難な垂直進展、を理由とする切除不能胆道癌を対象とし、遠隔転移やリンパ節転移のないことを条件とした。また、術前治療として化学療法と放射線療法の施行を原則とし、移植実施の数週前にリンパ節のサンプリングを行ってリンパ節転移陽性例を除外している。【結果】移植を企図して術前放射線までを施行したのはこれまでに9例であり、移植前にリンパ節転移および肝転移が認められた症例(それぞれ1例)を除く7例に生体肝移植を施行した。移植後に再発を認めたものは1例(移植9ヶ月後に骨転移)で、残り6例は中央値で移植後17ヶ月(化学療法開始後23ヶ月)を無再発で経過観察中である。【結語】切除不能胆管癌に対する肝移植は、これまでのところ良好な成績を収めており、今後も症例蓄積を進める予定である。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s270_1 |