肝細胞癌への肝移植: 適応と加点MELDの検討

【背景】HCCは5-5-500への適応拡大, 加点MELDが採用されている.【目的】Japan基準を満たすHCCの予後から適応, 脳死肝移植における適切な加点MELDを検討する.【対象】2013年-2017年の札幌厚生病院, 北海道大学, 手稲渓仁会病院, 札幌医科大学における18-65歳の初発肝細胞癌289例.【結果】HCC 289例のChild-Pugh(C-P)別割合はA: 74%, B: 18%, C: 8%であった. 179 (62%)がミラノ内, 185(64%)が5-5-500内であった. Japan基準内HCCの移植無しのC-P別1, 5生率はA: 100%, 88.1%, B...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s322_1
Main Authors 小川, 浩司, 松居, 剛志, 渡辺, 正明, 田中, 一成, 柿坂, 達彦, 後藤, 了一, 川村, 典生, 武冨, 紹信, 佐々木, 茂, 清水, 孝夫, 阿久津, 典之, 長津, 明久, 嶋村, 剛, 南, 亮輔, 中島, 知明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s322_1

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Summary:【背景】HCCは5-5-500への適応拡大, 加点MELDが採用されている.【目的】Japan基準を満たすHCCの予後から適応, 脳死肝移植における適切な加点MELDを検討する.【対象】2013年-2017年の札幌厚生病院, 北海道大学, 手稲渓仁会病院, 札幌医科大学における18-65歳の初発肝細胞癌289例.【結果】HCC 289例のChild-Pugh(C-P)別割合はA: 74%, B: 18%, C: 8%であった. 179 (62%)がミラノ内, 185(64%)が5-5-500内であった. Japan基準内HCCの移植無しのC-P別1, 5生率はA: 100%, 88.1%, B: 95.8%, 35.2%, C: 72.9%, 0%であり, B以上の移植適応は妥当であった. C-P AのJapan基準内HCCはALBI またはmALBIと腫瘍因子(TNM)によるスコア(ALBI-T, mALBI-T)で予後が層別化され, ALBI-T 2点≦(n=32), mALBI-T 3点≦(n=18)の5生率はそれぞれ64.1%, 50.6%で移植を検討しうると考えた. 更に現行の移植適応であるC-P B以上, Japan基準内(n=43)で十分な加点MELD (28点に設定)を獲得できるのは58.2%で, 局所療法でHCC制御可能なC-P Bで, 2年以上待機できる症例であった.【結語】C-P Aで移植を考慮すべき症例が存在すること, 現行の加点MELD制によるC-P B以上症例の移植到達率が算出された. これらのデータはHCCに対する適応拡大ならびに公平な臓器配分ルール構築の一助となる.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s322_1