腹部4臓器摘出を担う移植チームにおける省力化の試み―Z世代にも受け入れられる職場環境を目指して

2023年は131件の脳死下臓器提供が行われ、当科においても脳死肝移植10件、膵腎同時移植2件を実施し得た。他方、急遽予定される臓器摘出手術とその後の移植手術を常に十分な体制で行うには相応の準備が必要であり、特に近年は働き方改革や外科医不足など取り巻く環境の変化にも対応することが求められ、さらには、技術継承・後進育成という課題もある。これらの要求に応えていくためには、様々なレベルで効率化・省力化を図るとともに、互助制度の活用を含めた施設間の協力が不可欠である。 当診療グループは肝膵腎3臓器の臓器移植を担当するとともに、直近5年間で3件の小腸摘出手術に参加するなど、小腸移植チームと協働してきた。...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s168_1
Main Authors 多田, 圭佑, 佐々木, 健吾, 石川, 裕貴, 藤尾, 淳, 海野, 倫明, 菖野, 佳浩, 小笠原, 弘之, 和田, 基, 工藤, 博典, 滝戸, 成人, 亀井, 尚, 松村, 宗幸, 戸子台, 和哲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s168_1

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Summary:2023年は131件の脳死下臓器提供が行われ、当科においても脳死肝移植10件、膵腎同時移植2件を実施し得た。他方、急遽予定される臓器摘出手術とその後の移植手術を常に十分な体制で行うには相応の準備が必要であり、特に近年は働き方改革や外科医不足など取り巻く環境の変化にも対応することが求められ、さらには、技術継承・後進育成という課題もある。これらの要求に応えていくためには、様々なレベルで効率化・省力化を図るとともに、互助制度の活用を含めた施設間の協力が不可欠である。 当診療グループは肝膵腎3臓器の臓器移植を担当するとともに、直近5年間で3件の小腸摘出手術に参加するなど、小腸移植チームと協働してきた。近年は協力体制のさらなる拡充を進め、腹部4臓器を担当する移植チームとして移植診療を実施している。これにより、臓器摘出手術においても人員確保が容易となり、1人の外科医にかかる負担の軽減も可能となった。互助制度においては、昨年当科で実施した12件の脳死移植のうち肝移植1件、膵腎移植2件で他施設に協力依頼を行い、また当科においても直近4年間で肝臓摘出2件、腎臓摘出5件で人的サポートを行っている。臓器提供数のさらなる増加により短期的には負担増が予想されるが、一方で修練機会の増加により後進の育成もさらに進むものと捉えており、効率性の高い体制への移行を進めることで次世代の外科医にも魅力的な職場環境を整備可能であると考えている。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s168_1