High MELDスコア(≧35点)症例に対する肝移植
【背景】脳死肝移植における臓器配分がMELDスコア順となり、High MELD症例に対する肝移植を行う機会が増加しているが、その適応限界は定まっていない。そこでHigh MELD症例の肝移植について明らかにすることを目的として本研究を行った。【対象と方法】単施設、後方視的探求。当施設で1990年6月から2024年3月までに肝移植を施行した12歳以上のレシピエントn=252のうち、非肝硬変疾患n=81を除くn=171を対象とした。【結果】対象の内訳は、移植時年齢53 [四方分位39, 60] 歳、女性53.2%、原疾患は胆汁うっ滞性疾患43.3%、肝細胞性疾患53.2%、代謝性肝疾患1.8%、そ...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s199_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s199_1 |
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Summary: | 【背景】脳死肝移植における臓器配分がMELDスコア順となり、High MELD症例に対する肝移植を行う機会が増加しているが、その適応限界は定まっていない。そこでHigh MELD症例の肝移植について明らかにすることを目的として本研究を行った。【対象と方法】単施設、後方視的探求。当施設で1990年6月から2024年3月までに肝移植を施行した12歳以上のレシピエントn=252のうち、非肝硬変疾患n=81を除くn=171を対象とした。【結果】対象の内訳は、移植時年齢53 [四方分位39, 60] 歳、女性53.2%、原疾患は胆汁うっ滞性疾患43.3%、肝細胞性疾患53.2%、代謝性肝疾患1.8%、その他1.8%、脳死肝移植は10.5%、観察期間9.5 [2.5, 18.4]年だった。MELDスコア35点以上のHigh MELD群n=9は34点以下n=162に比べて移植前血液浄化療法が高頻度に行われ(77.8 vs 9.3%, p<0.0001)、脳死肝移植の割合が高く(66.7 vs 7.4%, p<0.0001)、患者生存率が有意に悪かった(1年生存率90.5 vs 76.2%、p<0.05)。多変量解析により移植前にII度以上の肝性脳症ありが1年以内患者死亡の独立した危険因子として抽出された(オッズ比3.9倍、p<0.05)。High MELD群1年以内死亡症例n=2はいずれも生体肝移植症例であり、死因は腹腔内出血後の敗血症およびグラフト低機能(高齢ドナー)であった。【結語】High MELD症例は短期移植成績がやや劣り、II度以上の肝性脳症あり及び生体肝移植は再考の余地ありと考えられた。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s199_1 |