術前の不十分な血圧管理が腎移植後アウトカムに及ぼす影響に関する検討
[目的]生体腎移植後の高血圧が移植片不全の発生リスクと関連することは既に報告されているが、移植前の高血圧との関連についての報告はない。今回移植前の血圧管理が移植後のアウトカムへ及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。[対象と方法]2008年4月から2023年10月に当施設において生体腎移植を実施した135例を対象とした。血圧コントロールが不十分な高血圧(IHT)を、降圧薬内服中且つ>140/90mmHgと定義した。移植前の血圧より高血圧(NHT群)、血圧コントロールが十分な高血圧あり(AHT群)、血圧コントロールが不十分な高血圧あり(IHT群)の3群においてdeath-censored gr...
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| Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s324_1 |
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| Main Authors | , , , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
| DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s324_1 |
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| Summary: | [目的]生体腎移植後の高血圧が移植片不全の発生リスクと関連することは既に報告されているが、移植前の高血圧との関連についての報告はない。今回移植前の血圧管理が移植後のアウトカムへ及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。[対象と方法]2008年4月から2023年10月に当施設において生体腎移植を実施した135例を対象とした。血圧コントロールが不十分な高血圧(IHT)を、降圧薬内服中且つ>140/90mmHgと定義した。移植前の血圧より高血圧(NHT群)、血圧コントロールが十分な高血圧あり(AHT群)、血圧コントロールが不十分な高血圧あり(IHT群)の3群においてdeath-censored graft survival (DCGS)及びoverall graft survival(OGS)をlog-rank検定及び多変量Cox比例ハザード回帰分析用いて解析した。[結果]NHT群が20例、AHT群が83例、IHT群が32例。DCGSはNHT/AHT/IHT群においてそれぞれ5年が100/100/88%、10年が100/93/81%で(log-rank test, p=0.001; log-rank test for trend, p = 0.018)、OGSは5年が100/97/88%、10年が100/86/71%(log-rank test, p=0.027; log-rank test for trend, p = 0.210)であった。多変量Cox比例ハザード回帰分析ではIHT(HR:6.23、95% C.I.:1.16-33.4, p=0.033)がDCGSにおいて独立した予後予測因子となった。[結語]移植前の不十分な血圧コントロールは移植腎生着率の低下と関連する。 |
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| ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
| DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s324_1 |