高難度膵臓移植症例に対するアプローチ~高度動脈石灰化症例、合併症症例

はじめに膵腎同時移植における高難度症例について検討する。症例1術前CTで腹部大動脈より末梢の動脈硬化が高度であった。膵移植から行った、高度動脈硬化のため、右総腸骨、外腸骨動脈はクランプ、吻合は不可能であった。グラフトの腹腔動脈、上腸間膜動脈パッチを切離して、ドナー腸骨動脈でYグラフトにして1本化した。右内腸骨動脈の石灰化も高度であったが、右内腸骨動脈とYグラフトを端々吻合した。その他の手術は型のごとく行った。腎移植動脈は左外腸骨動脈に端側にて吻合したが、吻合可能部位が左外腸骨動脈の背側であったため、通常の吻合は不可能と考え、移植腎動脈を一部切離してinterpositionして左外腸骨動脈に端...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s216_2
Main Authors 鳴海, 俊治, 渡井, 至彦, 島本, 侑樹, 二村, 健太, 長谷川, 雄基, 一森, 敏弘, 姫野, 智紀, 岡田, 学, 平光, 高久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s216_2

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Summary:はじめに膵腎同時移植における高難度症例について検討する。症例1術前CTで腹部大動脈より末梢の動脈硬化が高度であった。膵移植から行った、高度動脈硬化のため、右総腸骨、外腸骨動脈はクランプ、吻合は不可能であった。グラフトの腹腔動脈、上腸間膜動脈パッチを切離して、ドナー腸骨動脈でYグラフトにして1本化した。右内腸骨動脈の石灰化も高度であったが、右内腸骨動脈とYグラフトを端々吻合した。その他の手術は型のごとく行った。腎移植動脈は左外腸骨動脈に端側にて吻合したが、吻合可能部位が左外腸骨動脈の背側であったため、通常の吻合は不可能と考え、移植腎動脈を一部切離してinterpositionして左外腸骨動脈に端側吻合した。その後、interpositionした動脈と移植腎動脈を端々吻合した。その後、様々な合併症は経験したが、移植膵腎機能は温存された。症例2SPK手術を行い、術後2日目、移植腎動脈からの細分枝からの出血を認め止血術を行った。術後9日目、ドレーンから腸液を認め、緊急手術を行った。移植十二指腸が壊死しており穿孔していた。移植十二指腸粘膜はほぼ壊死した状態であった。膵臓側の十二指腸は残して、壊死した十二指腸を切除して、Roux en Y吻合にて回腸で膵臓側に残った十二指腸もしくは膵臓自体を覆うように吻合した。吻合した腸管内に減圧チューブを留置した。その後、吻合部からリークは認めたがドレナージで改善し、移植膵腎機能は温存された。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s216_2